研究課題/領域番号 |
26350536
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
川村 和也 千葉大学, フロンティア医工学センター, 助教 (50449336)
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研究分担者 |
小林 洋 早稲田大学, 理工学術院, 准教授 (50424817)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 医用ロボット / コンピュータ外科学 / ロボティクス |
研究実績の概要 |
手術支援ロボットの操作性は,操作者にとっての使いやすさが大きく影響する.この使いやすさは定性的な指標であり,これを定量的に扱うことが可能な指標と関連付けることで,ロボットの設計へと活かすことが可能となる.手術支援ロボットを設計するためには,機構,制御,操作の各要素を個々に検討するだけでなく,相互の関係を同時に検証する必要がある.そのため,仮想空間を利用することで,任意の対象に対して検証が行えるシステムの構築を進めている. 本年度は,タスクベースの定量的操作性能評価手法の構築に向け,これまで開発を進めてきたシミュレーションシステムの機能拡充,ならびにこのシステムを利用した計測が可能な評価指標の検討を行った.機能拡充として,前年度のリアルタイム性の向上をさらに進めるとともに,臓器のような柔軟体と術具の干渉判定機能の構築を実施した.また,操作時の動作を計測するための計測システムを構築した. これに加えて,操作性評価に向けた指標を検討する上で,入力機器が大きく関わることから,異なる入力機器を対象とし,タスクごとに入力機器の違いや制御系の変化によって生じる操作性への影響を検討した.特に本年度は,直接操作者の手で把持する把持型と操作者自身が機具を持たずに操作する非把持型の2種類の操作デバイスを対象とした検証実験を行い,ヒトの操作時の動作を計測し,負担がどのように計測できるのかの検討を行った.今年度構築した計測システムを利用し,身体の動作と作業中の負担の関係性に着目した動作計測を行い,評価指標を検討した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は,定量的な操作性評価手法を構築するために,前年度に引き続きシミュレーションシステムの拡充を進めるとともに,術具との干渉判定機能の構築ならびに計測システムの構築を実施した.干渉判定を導入したことにより,計算処理が多くなるため,併せてリアルタイム性の検討を重ねて実施した.また,これらを使用し,簡易的なタスクを対象とした操作実験ならびにその際の動作計測を行い,計測可能なデータと操作負担の関係性についての検討を進めた.実験結果から操作時における負担計測が可能であることが示唆され,概ね順調に進んでいると考える.
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今後の研究の推進方策 |
これまでに開発を進めてきたソフトウェアについては,より汎用性を高めるため,CADソフトとの連携機能の構築を進める.併せて,このシミュレーションシステムを用いて,定量的な指標の検討を進めていく.作業ベースの操作性評価に向け,脳活動などを利用し,操作者への負担を定量的に検証する手法を構築する.機構系・制御系・操作系におけるヒトを含む作業負担の定量化する手法へと拡充する.操作感と作業負担の関係性を検証し,定量的な評価指標の検討を行う.操作感は,そのときに使用する操作デバイスによって影響を受けると考えられることから,実施するタスクと併せて,操作デバイスによって生じる違いなどを含め,評価指標の選定を実施する.
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次年度使用額が生じた理由 |
ソフトウェアの拡充ならびにそれを利用した操作実験等を実施するための消耗品の購入などが必要となったため
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次年度使用額の使用計画 |
検証環境を整える機械部品や電気・電子部品などの購入に使用する.
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