研究課題/領域番号 |
26350538
|
研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
伊藤 高廣 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 教授 (10367401)
|
研究分担者 |
村上 直 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 助教 (90443499)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | マイクロメカニズム / カプセル / ロボット / 医療機器 / 検査 |
研究実績の概要 |
患者負担、医師負担を軽減する自走式カプセル内視鏡のために、小型走行機構を開発した。長さを従来比20%以上コンパクト化し、かつ目標の4倍以上の0.4N出力の達成に成功した。実績は以下の通りである。 (1)走行機構小型化: 走行機構(電磁振動アクチュエータ)を、Moving Magnet型アクチュエータに改良し、長さ方向に20%小型化して全長8mm、駆動力は目標値を上回る0.4N以上を達成した。また、アクチュエータの温度上昇を15℃以内に抑え消費電力75mWでも走行可能であることを確認した。(2)任意方向移動機構: 1個の磁石を多方向に動ける機構を検討、考案した。(3)シミュレーション: 走行機構用コイルの磁界分布をシミュレーションできる環境を整え、結果を確認した。(4)カメラ: カプセル搭載可能カメラを完成させた。回路消費電力とサイズの問題から有線となった。開発したカメラの性能評価を行い、映像を確認した。(5)検証実験: 豚の腸を用いた走行実験環境を整えた。カプセルの走行抵抗を測定し、文献の値よりも実際には1/2以下の値であることを確認した。 他に、ワイヤレス給電によるカプセル走行を実現し、送電コイルから50mm離しても速度10mm/sを達成した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成27年度の計画では、走行機構の小型化、カメラ搭載、任意方向移動の検討があげてある。1)走行機構は、従来の長さ10mmから8mmへと20%k小型化し、かつ出力を0.1Nから0.4Nと大幅に向上した。2)カメラ搭載は、カプセルに搭載できるカメラを開発し、動作試験により確認した。3)任意方向移動は、1つの磁石により方向を変える機構を考案した。以上、ほぼ計画通り進んでいる。さらに、走行カプセル用ワイヤレス給電技術を開発し、従来の電池給電では20分しか走行できなかったところを1時間の走行が可能となり、当初計画より大幅に進めることができた。
|
今後の研究の推進方策 |
豚の腸上、腸内での走行試験をできるように装置と環境を整えた。今後は新鮮な豚の腸を持田走行結果から走行機構と回路を改良していく。しかし死んだ動物の腸と生きた動物の腸とは大幅な差があることが判明した。そこで生きた実験用動物として、人間と腸の構成やサイズが似ている犬を用いた実験により、より人間に近い腸内走行環境を用いた走行試験を進める。
|