研究課題
冠動脈硬化性プラークの脂質成分を検出・同定できる新しい心臓血管内画像診断装置:Compovision-OCTを完成させるため、1700nmの近赤外線光による脂質検出のための分光OCTアルゴリズムを作成した。Compovision-OCTは、OCTで測定される波長スペクトルを小帯域に分割して解析することで脂質の特徴ピークを検出し(分光OCTアルゴリズム)、冠動脈プラーク内の脂質の分布を断層画像として表示することができる、新しい血管内画像診断装置である。病理剖検例の標本を用いて、Compovision-OCTによる脂質検出の感度、特異度、陽性的中率、陰性的中率を吟味し、脂質検出精度が最適になるように調整した。完成した分光アルゴリズムによるCompovision-OCTから画像のカラーマップを作成した。Compovision-OCTの静止画像上に、脂質は黄色、その他の組織(線維性組織・石灰化など)は緑色で表示させた。Compovision-OCTは自動プルバック装置により毎秒20mmでカテーテル内の光レンズを引き抜き、50mm長を撮像するが、カラーマッッピングは動画再生にも対応できるように工夫した。Compovision-OCTの組織性情診断に基づいたカラーマップの作成は、プラーク内脂質分布の直感的な理解に役立つことが判明した。
2: おおむね順調に進展している
本研究で使用するCompovision-OCTの試作機は概ね完成しており、体外の脂質を標的として分光アルゴリズムの調整も順調に進み、静止画像・動画に対応したカラーマッピングも作成することができた。
急性心筋梗塞をきたす危険性の高いとされる薄い線維性被膜を有するアテローマ(Thin-cap fibroatheroma)TCFAの同定能力を検証する。OCTは10micorometerの高い解像度を有するため、急性心筋梗塞の前駆病変と言われるTCFAの65micorometer未満の薄い線維性被膜を同定できる。さらにCompovision-OCTは、TCFAの特徴とされる大きな壊死性脂質性コアを検出できる可能性がある。病理解剖例の冠動脈からTCFAを選出し、Compovision-OCTによるTCFA同定の感度、特異度、陽性的中率、陰性的中率、正確度を評価する。
本件急の目的は、ヒト病理解剖例の冠動脈の病理組織像を基に、新しい血管内光学画像診断装置の脂質検出のための分光アルゴリズムを確立することである。しかし、冠動脈に中等度から高度の動脈硬化を有するヒト病理剖検例の件数が限定的であったため想定より獲得が遅れ、研究遂行にも遅延が生じた。現時点では目標件数に達したが、研究の完遂・成果の学会発表・論文報告などのために次年度への補助事業期間延長必要が生じた。
新しい血管内光学画像診断装置の脂質検出のための分光アルゴリズムの正確度の調整・成果の学会発表・論文報告のために使用する。
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