研究課題/領域番号 |
26350544
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
谷口 信行 自治医科大学, 医学部, 教授 (10245053)
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研究分担者 |
小形 幸代 自治医科大学, 医学部, 助教 (10448847)
石黒 保直 自治医科大学, 医学部, 助教 (10646326)
笹沼 英紀 自治医科大学, 医学部, 講師 (90511709)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 音響放射力インパルス / 心臓 / 造影超音波検査 / 心電図 / 不整脈 |
研究実績の概要 |
音響放射力インパルスを有する超音波は、組織の硬さを評価することができ、既に臨床応用されている。通常の診断用超音波より強い超音波を用いており、超音波造影剤との併用で組織の温度上昇や機械的な損傷を引き起こす可能性がある。今回は、生体(ウサギ)の心臓において、超音波造影剤の投与下に音響放射力インパルスを有する超音波照射を行いその影響を確認している。超音波の条件は、Mechanical Index(MI)が1.8および4.0、照射時間(Pulse Duration:PD)が0.3および10msとしている。超音波造影剤は、単回静脈注射と持続点滴の2種類の投与法を用いている。 心臓の左心室が描出される肋間を選択して超音波照射を行った実験では、MIが4.0の条件では、超音波造影剤の併用により期外収縮が確認された。MIが1.8、PDが0.3msの条件では、超音波造影剤の持続点滴でのみ期外収縮の出現が確認された。MIが1.8、PDが10msの条件では、静脈注射と持続点滴の両方で期外収縮の出現が確認された。心臓の心房が描出される肋間を選択して超音波照射を行うと、上記と同じ条件でも期外収縮の頻度が増加する傾向がみられた。造影剤を投与していない状態では期外収縮は確認されていない。観察された期外収縮はいずれも単発のもので、上室性期外収縮が主体である。致死的な不整脈は観察されていない。 以上より、超音波造影剤投与下に心臓に音響放射力インパルスを伴う超音波を照射すると期外収縮が誘発されることが再現性をもって示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の設定の条件のもとに、超音波造影剤投与下にウサギ心臓に音響放射力インパルスを伴う超音波を照射すると起こる期外収縮は、再現性をもって観察されているため。これに基づき今後は後述する照射における諸条件の検討を計画している。
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今後の研究の推進方策 |
臨床で用いられるより低いMI、短いPDでの期外収縮の出現の有無を確認してきた。継続して心臓の照射部位による違いの検討を行う必要がある。超音波造影剤の濃度による期外収縮発現の違いも検討する予定である。特に、超音波造影剤投与後の血中濃度の推移に伴う期外収縮の頻度の変化についても検討していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験の一部が装置の不具合により、翌年度に延期となったため
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度に、ウサギを用いた動物実験の一部を追加する予定
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