研究課題/領域番号 |
26350547
|
研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
永岡 隆 早稲田大学, 理工学術院, 次席研究員 (00367054)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | メラノーマ / 生体分光計測 / ハイパースペクトラルイメージング / 診断支援システム |
研究実績の概要 |
本年度はハイパースペクトラルイメージャの白色人種における臨床性能を評価するため、スウェーデン・ルンド大学に当該装置を設置し、臨床での計測を開始した。 日本人に比べメラノーマの有病率が高い白色人種では、メラノーマに対する認識が日本人のそれとは大きく異なり、極めて身近な病気であることが分かった。メラノーマ患者を家族に持つ場合、多くは年に1回以上の皮膚科専門医による診察を受けており、メラノーマが発生したとしても、かなり早期の段階で発見され、完治することが多い。日本での計測では、メラノーマの発生がかなりレアであり、進行した状態で見つかることが多い。そのため、これまで開発した指標値が直接使用できない可能性が示唆されつつある。 白色人種においては早期かつ微小な病変を診断することがほとんどであり、そのため良性病変との鑑別は日本人の場合よりもはるかに困難になる。既に我々のメラノーマ鑑別指標は微小病変に対しても対応できるよう改良を施していたが、更なる改良が求められることが判明しつつある。 今後はこれまで開発したメラノーマ鑑別指標の改良を進める一方、新たな視点からハイパースペクトラルデータを解析する手法の新規開発を目指す。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度は装置の海外展開、更なる分野への応用を検討していた。白色人種ではメラノーマの有病率が高いことは事前に想定していたが、実際に装置をスウェーデンに設置し、臨床計測を開始すると、我々の想定以上に計測患者数が増加した。これは白色人種におけるメラノーマへの意識の高さが反映しているものと推測される。同時に課題もみつかりつつあり、次年度以降その解決を目指す。メラノーマ以外の分野への応用に関しては、化粧品分野での応用に向けた準備が整いつつあり、次年度以降実際の被験者を用いた計測の開始を計画している。
|
今後の研究の推進方策 |
引き続きスウェーデンでの臨床計測を実施するとともに、国内においても計測施設の増加を図る。既に国立がん研究センターへの装置移設が終了しており、本邦でのがん研究の最前線での臨床計測を開始することによって、これまで以上に症例数が増加することが期待できる。白色人種の計測によって明らかになりつつある、小さいメラノーマ病変への対応として、現在までに開発してきたSpectral AngleとEntropyを組み合わせた指標において、基準スペクトルの変更や、病変の領域抽出による患部領域の明瞭化を試みるとともに、新機軸、たとえば主成分分析の導入などによって、新たな視点からのハイパースペクトラルデータの解析にも挑む。化粧品分野へのハイパースペクトラルイメージャの応用として、次年度以降皮膚の経時変化や日照との関係など、まず基礎的なデータの収集から開始する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
ほぼ計画通り執行したが、当初予定より安価に取得できた物品等があり、僅かに次年度使用額として繰り越した。
|
次年度使用額の使用計画 |
当初予定通りの使用計画で執行する予定である。次年度使用額に関しては物品調達の際に適宜調整される予定である。
|