平成28年度の研究テーマ:ヒト心房細動性不整脈へのクラスターLED照射効果の解明 心房細動性不整脈をもつ研究代表者(木暮)が被験者となり、実験を遂行した。心電図は生理学実習装置を用いて、簡易ベッド上に仰向けになった被験者より「第I誘導法」で行った。コントロール(非照射)として1日30分のECG記録を隔日で週3回、2週にわたって行った。その後のECG記録時には、心臓上の胸部にクラスターLED(6cm×6cm;LED36個;波長532±10nm;7.2mW)がゴムバンドによって装着された。照射実験としても同様に、1日30分のECG記録を隔日で週3回、6週にわたって行った。 各実験日のECGデータのうち、照射前の5分間と照射中の5分間(いずれも連続とは限らない:1分間データを5箇所)を選び、1分間あたりのArtrial fibrillation(Af:心房細動)とP波の出現回数を計測した。その結果、次のような傾向性を示すことがわかった。①照射前のAfおよび照射中のAFともに出現頻度は実験の経過とともに減少した、②全経過のAFの平均頻度は非照射が4.6±1.0(/min)で照射時では3.5±0.3と有意ではないものの減少傾向を示した、③照射前のP-waveおよび照射中のP-waveともに出現頻度は実験の経過とともに上昇した、④全経過のP-waveの平均頻度は非照射が4.8±1.6(/min)で照射時では7.7±1.1と有意に上昇した(p=0.0455<0.05)。 実験期間にも被験者は循環器科へ2ヶ月ごとに通院していたが、そこでのECG検査において、①期外収縮が観測されなかった、②心房細動もほとんど観測されなかった、という改善が見られた。しかし1~3分間ほどの検査なので判断は難しいところである。 最終年度の結果から、心疾患に対するLED照射治療の可能性が示唆された。
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