研究課題
我が国では、医薬品の承認が欧米と比して遅れがちであるドラッグ・ラグが特に生存に関わる抗がん剤の分野では大きな問題とされてきた。その原因として、非臨床試験から治験段階に渡る開発環境、特に治験実施期間の長さ、承認審査期間の長さが指摘されていた。最近では承認審査期間は欧米並みとなっているが、依然として承認は遅い傾向にある。本研究は、治験実施環境と医療環境の関連を検討し、早期承認の障壁となっている問題点を抽出し、早期承認に繋げることを目的としている。2001年から2014年の間に日米両国で新規承認された抗がん剤のうち、補助療法を除き、直接的な治療を目的とした41品目を最終的に対象とした。そして適応と承認根拠となった主要評価試験(pivotal study)の概略を取り纏め、日米の標準治療をガイドラインを基にデータベースを作成した。日本で米国よりも早く承認された品目は1品目であり、米国での承認が2010年までと2011年以降で比較すると前者が33品目、後者が8品目であり、承認時期として平均して日本の遅れが前者が57ヶ月で後者が9ヶ月であり近年承認までの差は他の報告と同様に短くなっていた。国内では標準療法に関するガイドラインは整備されてきているものの米国がNCCN等で年次改訂されているのに比して遅いのは改善しておらず、そのため標準療法としての第一選択、第二選択等の位置付けが早期承認に関与しているとは言えなかった。その他の因子を含め解析を行ったが最も影響を与えたと考えられたのは国際共同治験がpivotal studyであり、2011年以降に承認された8品目のうち7品目が国際共同治験がpivotal studyであった。患者数、評価項目、標準治療における位置付け等の差が国により存在するが、早期承認のためには国際共同治験への参加が最も重要と考えられた。
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