研究課題/領域番号 |
26350562
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研究機関 | 国立医薬品食品衛生研究所 |
研究代表者 |
植松 美幸 国立医薬品食品衛生研究所, 医療機器部, 主任研究官 (10424813)
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研究分担者 |
青見 茂之 東京女子医科大学, 医学部, 准教授 (30183726)
鈴木 孝司 東京女子医科大学, 医学部, その他 (00468688)
岩崎 清隆 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (20339691)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 手術ナビゲーションシステム / ユーザビリティ / 大動脈外科 |
研究実績の概要 |
ナビゲーションシステムに求められる性能で特に重視されるのは,患者自身と画像とのレジストレーション誤差をナピゲーションの使用目的を達成するのに十分な低値に収めることと考えてきた.ナピゲーション施行に伴う操作において,初期の作業内容から比べると工夫が重ねられ,術者にとっての解剖学的特徴点探索の簡易化,レジストレーション回数の減少,方向別誤差の減少等がなされてきた.その一方で,追加機能によって作業が複雑化し,使い方に慣れていない操作者には機能を使いこなすことが困難になっている.そこで,ユーザビリティを考慮した上で,システムに求められる機能の見直しを行い,大血管用のナビゲーションシステムの再構築を進めている. 見直しの結果,ベッド移動に対応する作業の改善が求められた.ベッド移動後において,現システムでは操作者がベッド移動を検知し,ベッドマーカ計測後に移動量の計算結果を更新,ナビゲーション用ファイルに修正を加える作業を操作者が行う必要がある.まず,新システムではベッド移動の検知を自動化した.マーカ自体の隠れで計測不能となったのか,ベッドの移動で位置ずれが起こったのか等,状況に応じて再レジストレーション有無の判断が異なるため,マーカ計測の状態を示す機能も追加し,操作者が判断しやすくした.さらにベッド移動に伴うナビゲーション用ファイルの更新作業はシステムが行い,操作者の作業量を減らした. 現システム,新システムを用いてベッド移動に対する更新作業を行い,かかる時間を比較した.被験者はで現システムの使用経験のある非医師3名とし,試行回数は各3回とした.ベッド移動への対応作業にかかる時間は現システムでは平均370.3秒,新システムでは全試行で10秒以内であった.この機能の改善により,複雑な作業を必要とせず,ベッドを動かした直後にも即座にナビゲーションを使用可能となることにつながる結果を得た.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
各スタッフのシステムとの相互作用を抽出するため,現ナビゲーションシステムをUML(Unified Modeling Language)の記法を使って示した.ユースケース図でシステムの可視化を行った.アクティビティ図・状態図により手術流れをシナリオ化し,人的コストの削減可能性を探った.現システムではベッド移動に伴う作業が操作者への負担につながっていることが明らかになり,その対応策として人的作業の自動化を進めた.
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今後の研究の推進方策 |
ユーザである医療スタッフの人間中心のシステム設計とするため,手術現場での運用におけるユーザビリティ向上,術前画像処理工程の人的コストの省力化,術中のナビゲーション運用工程の人的コストの省力化などをふまえて,引き続き改良を進めていく.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初購入を計画していた製品の供給がなくなり,購入できなくなったため,代替品の検討を進めることで購入の変更をすることにした.
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次年度使用額の使用計画 |
代替品購入にあたり配分額では購入に十分でなかったため,次年度分とを合わせて購入することにした.
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