研究課題/領域番号 |
26350562
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研究機関 | 国立医薬品食品衛生研究所 |
研究代表者 |
植松 美幸 国立医薬品食品衛生研究所, 医療機器部, 主任研究官 (10424813)
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研究分担者 |
青見 茂之 東京女子医科大学, 医学部, 准教授 (30183726)
鈴木 孝司 東京女子医科大学, 医学部, 研究生 (00468688)
岩崎 清隆 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (20339691)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 手術ナビゲーションシステム / ユーザビリティ / 大動脈外科 |
研究実績の概要 |
新規システムを開発するにあたってのモジュールのひとつとして,解剖学的な特徴を利用した新たなアルゴリズムを開発し,追加した.提案法の特徴は,背中にある棘突起のレベルは正確に見つけることが難しいため,棘突起のレベルの上下を正確に判別できなくても,背中の位置を計測すればよいとし,各部位に情報の信頼度を与えたことである.到達目標は,開胸前のレジストレーションによって,肋間の頭足方向にレベルを区別した上で,背骨近くにある大動脈周辺でもその位置精度を維持することとした.目標精度は開胸前の腹側で,頭足方向に10mmとする.開胸後は追加の特徴点で位置合わせをするため,開胸前の背側の位置精度が10mmを超えることは許容する.今回,従来の手術ナビゲーションで計測した骨格点のデータから,有用性の検討を行った. 対象は頚切痕,胸骨角,左前腸骨棘,恥骨,棘突起(Th12)の5点が計測された連続する8症例とした.左右方向では,座標変換軸に用いた胸骨角,恥骨,棘突起で平均1mm以下の精度であった.背腹方向では,左前棘突起では平均47.1mmの精度であり,腹側の頚切痕,胸骨角,恥骨では平均10mm前後の精度であった.頭足方向では,頚切痕,胸骨角で平均10mm以下,他3点でも平均20mm以下の精度であった.開胸前の肋間レベルの決定における到達目標を満たした.頭足方向の精度並びに腹側から背側に向かってその精度は概ね維持されるといえる.左前腸骨棘の位置ずれが大きいことについては,術中の体位は側臥位であることによる誤差の集中といえる.個別の症例では,棘突起において頭足方向に40mmを超える誤差が生じた.これは,側湾症の2例の場合であり,提案法における体軸の基準ベクトルを設定するにあたり,頚切痕,胸骨角,恥骨が左右方向にズレが大きくなく,直線上に存在するという前提条件を満たさないためと考えられた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
開発モジュールを統合し,新規システムが完成した.2種類のアルゴリズムを組み入れ,症例によりアルゴリズムを比較しながら,適切な方法を用いることができるようになった.また,ベッドに基準位置を設定するためのアンテナを設置し,手術中のベッドの移動や回転を計測し,位置合わせ結果を更新させる機能も追加した.運用面においても,一人で簡易にセッティングできるように運搬や固定方法を工夫した.ナビゲーション使用モードや計測モードについても,画面上での確認を容易にした.
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今後の研究の推進方策 |
H28年度に新規システムの臨床評価を開始するため,倫理委員会の承認を受け,準備が整った.手術中に術者の必要なタイミングで術者が求めている情報を呈示するために,手術進行の中でシステムの使用のタイミングを図りながら,システムの使いやすさや有用性を評価をしていく.
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次年度使用額が生じた理由 |
新規システムによる臨床評価を開始するにあたり,必要品の購入準備を進めたが,納期の関係で次年度に繰り越された.
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次年度使用額の使用計画 |
新システムの臨床評価をH28年6月に開始するに伴い,手術室における使用を目的とした必要品の購入を行う.
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