研究課題
本研究の目的は高齢者の開鼻声値(nasalance score)を調査し、スコアの基準値を設定,臨床の現場で鼻咽腔閉鎖機能が客観的かつ明確に評価できるための指標をつくることである.設定した基準値を用いて、高齢者の鼻咽腔閉鎖機能を評価するとともに、鼻咽腔閉鎖不全症に伴う誤嚥リスク、構音障害のリスクとの相関を明らかにし、高齢者の構音障害のみならず嚥下障害、誤嚥性肺炎の予防やリハビリテーションのための指標となるようにしたいと考えている。現在,次の手順で研究を進めている。調査依頼:高齢者利用施設に本研究について説明し,調査の許可があれば,利用者に説明書を配布,同意の得られた利用者を検査する.検査:被験者にモバイル・ナゾメーターのヘッドセットマイクを装着し,母音,子音,検査文を発してもらう。発話する音は母音/a//i//u//e//o/,子音/p//b//t//s//dz/,文章「よういはおおい」(低圧文),「きつつきがきをつつく」(高圧文)である.このときの発音時のNS を得る.検査は1名につき3回行い,その平均値を被験者のNS とする.解析:各被験者のデータを解析し,各音,文の平均NS を求める.検定は多重比較検定を用いる.年齢ごとの音,文のNS を導き出す.性差についても検討する。
3: やや遅れている
健常者のデータはこれまで通り収集しているが,比較的幅の広い値であり,高齢者ゆえの条件が絡んでいる者と考えている。被験者の条件を筋力,ADLなどでふるい分けした上でデータを得る必要性を感じている。明らかに鼻咽腔閉鎖不全を認める患者群のデータは順調に収集できており,対照群として活用できると思われる。
健常者のデータはこれまで通り収集するが,被験者の条件を筋力,ADLなどでふるい分けした上でデータを得る必要を感じていることから,PSスケールを使用したいと計画している。明らかに鼻咽腔閉鎖不全を認める患者群のデータはこれまで通り収集する。サンプルを得るための提携施設を増やしていくことで質の高いデータが収集できると考える。以前の研究から開鼻声値に地域差があり得ることが伺えたので,サンプルの採取は地域を広めないようにしたい。
学会発表に必要な費用が当初の予定より少なかった。誌上発表の予定が遅れており,投稿費用の分を持ち越さざるを得なかった。
本年度は学会発表,誌上発表の計画が昨年度以上にあるため,請求通りの使用額になると見込んでいる。
すべて 2016 2015 その他
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (9件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)
群馬県歯科医学会雑誌
巻: 20 ページ: 21-24
胸部外科
巻: 69 ページ: 4-11
日本口腔外科学会雑誌
巻: 62 ページ: 3-9
日本口蓋裂学会雑誌
巻: 40 ページ: 41-48
癌と化学療法
巻: 42 ページ: 569-573
http://oamfs.med.gunma-u.ac.jp/