研究課題
本研究の目的は呼吸循環器機能が障害される膠原病患者の運動中の心機能評価と体力の検討である。安静時での心機能評価は報告されているが、運動時の評価は侵襲的あるいは方法が確立していないなどの理由でよく分かっていない。そこで、非侵襲的にインピーダンス法を用いた心拍出量計を使用し、平成27年度では41名の全身強皮症患者の6分間歩行試験中の心機能について報告した。平成28年度では更に症例数を59名に増やし、27名の健常者と対比させた(Someya et al. Exp Rheumatol 34(Suppl 100),2016)。結果は、患者において1回拍出量が安静時だけでなく運動時にも減少しており、運動中の1回拍出量と肺機能との間に正の相関を認めた。ところが、1回拍出量は心エコー検査で得られる評価と関連性がみられなかった。但し、心臓カテーテル検査で証明された肺高血圧症の患者については運動中の1回拍出量の増加量が少ないことが確認された。以上より、運動中の心機能障害は肺機能だけではなく、肺高血圧症とも関わっていることが示された。このような横断的研究に加え、縦断的研究として9名の全身性強皮症患者について評価した。期間は3か月から21か月である。その結果、肺機能の変化は内科的治療の有無に関わらず改善または増悪した。また、運動中の1回拍出量の経時的変化は肺機能の経時的変化と関連性があった。一方で、歩行距離の変化は肺機能の変化とは関連性がなく、心拍数の代償を受けていた可能性が示唆された。この縦断的研究においても、心臓と肺は別の臓器でありながら、肺機能が心機能に経時的にも影響を与えることが示唆され、6分間歩行距離は肺機能の変化を直接受けるのではなく追従する心機能によって変化すると考えられた。この成果は第54回日本リハビリテーション医学会学術集会で発表することが決定している。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 3件、 謝辞記載あり 1件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (7件) (うち招待講演 1件)
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