研究課題/領域番号 |
26350567
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
千田 益生 岡山大学, 大学病院, 教授 (60226694)
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研究分担者 |
則次 俊郎 (則次俊郎) 津山工業高等専門学校, その他部局等, その他 (70043726)
堅山 佳美 岡山大学, 大学病院, 助教 (90397886)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 人工筋肉 / 痙性指 / 麻痺手 / 運動療法 |
研究実績の概要 |
痙性のある指に対する受動可動域訓練装置の作成および使用を行っているの患者さんに対するコントロールは継続して施行している。実際に自宅に持って帰ってもらい、自身や家族に装着してもらって訓練してもらっている。新たに、脊髄性の麻痺で、肘関節屈曲困難および手指の運動麻痺がある患者さんに対して、訓練目的で人工筋肉を作用させる訓練装置を作成した。この患者さんは、肘の屈曲ができないことが最も困っている事柄であり、肘屈曲に対するアシストを行う目的の人工筋肉システムとした。患者さんの意志によってスイッチを作動させ、自分でも力を入れるように努力させるシステムである。スイッチは言語によるスイッチも研究しているが、確実な手動によるスイッチも併用した。人工筋肉が効率的に作用できるように、作用軸を延長し、人工筋肉が作用することで十分な可動域が得られるように工夫した。試行錯誤を繰り返し、目的とする人工筋肉のシステムを完成した。こちらも自宅へ持ち帰っていただき、大学で行う訓練に加えて、自宅でのトレーニングを行った。患者さんの実感として、肘屈曲訓練を、人工筋肉を作用させて行うことで、肘屈曲の筋力の回復はわずかに可能であるかに思われた。それ以上に、肘屈曲に比較して麻痺はあるが、弱かった手指の筋力が回復してきた。機序は今のところよくわからないが、肘関節の積極的な人工筋肉を用いた自動介助運動を行うことで、神経学的な回復が、手指を支配する脊髄レベルまで回復を促したような印象をもった。ある動きを積極的に改善させることは、神経の回復が広がりを持って起こる可能性が示唆された。できれば同様な患者さんで、研究を進めたいと思う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
痙性指硬縮に対する受動可動域訓練装置は、かなり実用的な装置ができるようになってきた。装置を継続して使っていただくようコントロールを行っている。なかなかつけることが面倒であり、訓練できていないということもあるようである。新たな人工筋肉を用いた装置を開発し、麻痺した上肢に用いて研究している。考えていた以上の効果が得られるように実感している。患者さんの麻痺の状態に合わせて、人工筋肉を用いた研究ができており、おおむね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
痙性麻痺による拘縮の手指がある患者さんに対して人工筋肉を用いた受動可動域訓練装置は、現時点で完成に近い状態であるが、まだ十分な状態とはいえない。どのような患者さんが来ても対応できるようにはなっていると考える。ほぼ実用的な段階であると考える。効果を実証する評価法も考えていくべきであると思っている。拘縮が改善することの数値的な評価が難しく、苦慮している。弛緩性麻痺の患者さんにも新たな装置も開発して効果を実感しているが、実際に筋力や手の機能の回復につながっているという証明ができるよう、研究していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
人工筋肉を用いた支援システムが、予定していた額より少し安価でできましたので、次年度使用額が生じました。有効に使用させていただきたく、次年度に繰り越しさせていただきました。
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次年度使用額の使用計画 |
音声による作動システムの設置や人工筋肉の質や数の調整を行い、予算に適合した使用を行っていく予定です。
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