本研究の目的は、嚥下関与筋のアンチエイジングに対する研究として、加齢による嚥下筋萎縮の予防効果について検討することである。具体的には、嚥下機能に大きく関わっている下咽頭収縮筋の筋萎縮分子機構を解明し、加齢による廃用性筋萎縮の変移を検討する。さらに廃用性筋萎縮に対する予防薬を投与し、筋萎縮予防の効果をみる。(これまでの研究報告)ラット成熟群を用いて下咽頭収縮筋におけるタンパク質転写因子(FoxO3、リン酸化FoxO3、PGC-1α)の発現量の測定を行い、四肢筋、下咽頭収縮筋(甲状咽頭筋、輪状咽頭筋)間において発現量を比較検討した。 ◯ウエスタンブロット法を用いた成熟群ラットを用いた下咽頭収縮筋におけるタンパク質転写因子(FoxO3、リン酸化FoxO3、PGC-1α)の発現量の測定と定量評価、9~12週齢のWistar系雄ラットを用いて下記の実験を行った。 a)ペントバルビタールで安楽死処置後、実体顕微鏡(現有備品)を用いて下咽頭収縮筋(甲状咽頭筋、輪状咽頭筋)を摘出。なお対照として長趾伸筋を同時に採取した。 b)各筋毎にサンプルを抽出して、FoxO3a抗体、リン酸化FoxO3a抗体、PGC-1α抗体と反応させ、化学発光したバンド画像をImageQuantLAS4000(GE healthcare)を用いてスキャンした。 c)画像解析ソフトImageQuant TL(GE healthcare)を用いて各筋のタンパク質発現量を比較・定量化した。 この結果、成熟群の下咽頭収縮筋内にタンパク質転写因子(FoxO3、リン酸化FoxO3、PGC-1α)を同定することができた。また甲状咽頭筋と輪状咽頭筋で、発現量に相違がみられた。加齢群に対してはまだ実験はできていない。
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