研究課題/領域番号 |
26350570
|
研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
村田 潤 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(保健学科), 准教授 (00304428)
|
研究分担者 |
村田 伸 京都橘大学, 健康科学部, 教授 (00389503)
田中 浩二 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(保健学科), 助教 (60613601)
古後 晴基 西九州大学, リハビリテーション学部, 講師 (90640821)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 手指感覚 / 自律神経性循環調節 / 触圧覚閾値 / 皮膚血流量 / 点字解読課題 / 血圧 / 心拍数 / 健常高齢者 |
研究実績の概要 |
本研究は,循環調節能を指標とする新しい客観的な感覚機能評価法の開発に向けた取り組みである.本年度は,感覚識別課題遂行時の手指皮膚血流量,および心拍数,動脈血圧のデータをリアルタイムで同時記録する計測システムを開発し,検討するための計測システムを開発し,地域在住の健常高齢者を研究対象として,交感神経性循環動態の応答特性と識別能力との関連性,および加齢性変化ついて検討した. 方法:研究対象は 46名の地域在住女性健常高齢者であった(平均年齢:74.0±6.0歳).実験は,2つのプロトコールで構成されていた.①被験者は机座姿勢をとり,10分の安静の後,利き手示指を使用して1つの点字プレート(幅3mm,高さ1mmの凸を点字模様に従って配列)の解読作業を15秒間で行った.もう一つは対照実験として,②点字模様のない平らなプレートを①の場合と同じ動作で触れさせた.この2つの課題施行時にみられる手指皮膚血流量および心拍数,血圧の変動を観察した.手指皮膚血流量計測には血流動画測定器を使用した.また,点字解読した利き手示指の掌側先端部の触圧覚閾値を測定した. 結果と考察:心拍数や血圧は課題遂行時に大きな変化は生じなかった.手指皮膚血流量は点字解読中に減少した(最大変化量:-14.7±8.9%).触圧覚閾値の平均値は3.0±0.4log forceであった.さらに,触圧覚閾値と年齢の関連性は相関係数(r=0.487, p<0.01)であった.つまり,触圧覚機能は加齢によって減弱することが示唆された.一方,皮膚血流変化量は年齢との相関関係は認められなかったが(r=0.263, p=0.08),触圧覚閾値との間に有意な相関関係が認められた(r=0.380, p<0.01).これらの研究成績は,皮膚の体性感覚機能は加齢により減弱するが,この皮膚感覚機能の変化は感覚識別時の血流応答に反映することを示唆する.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
手指感覚識別時にみられる手指循環動態の加齢性変化について示唆するデータを得ることができた.一方、65歳以下の健常成人のデータが不足している.
|
今後の研究の推進方策 |
次年度は,脳血管障害者を対象としてデータ収集を実施するが,age matchedした健常成人のデータを追加して収集する.
|
次年度使用額が生じた理由 |
研究データ測定のための調査旅費として計上していたが,研究対象者の日程調整が合わずに高齢者を対象とした測定会が1回分中止となったため.
|
次年度使用額の使用計画 |
今回中止となった測定会を日程調整の上,次年度に実施する予定である.
|