本研究の目的は,感覚情報処理時の手指循環動態変動と感覚認知との関係を明らかにし,中枢神経障害にともなう応答特性の変化についての知見を得ることであった.そこで,脳卒中片麻痺者を対象として手指感覚識別課題(点字解読)遂行時の手指皮膚血流量の変化と手指触圧覚閾値を調査した.点字解読時に手指皮膚血流量が減少することを確認されたが,脳卒中片麻痺者において麻痺側の反応量が著しく少なかった.さらに,手指血流反応量と触圧覚閾値との間には相関関係が認められた(r = 0.44).これらの研究成績は,手指感覚識別時の手指血流反応量が感覚感度を反映するとともに,中枢神経障害の影響を受けることを示唆した.
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