研究実績の概要 |
ヒトの社会的行動において意思決定過程を内省することは,目的達成のための適切な行動選択に重要な役割を果たしている.意思決定に関与する神経メカニズムは現在までに明らかになりつつあるが,意思決定を支える内省能力との関連性は明確ではない.そこで今回,内省プログラム前後における意思決定課題実施中の脳活動をfMRIによって計測し,内省能力の変化が意思決定時の脳活動に及ぼす影響を,自尊心レベル別に明らかにすることを目的とした. 平成26年度は,以下の3点を行った. 1)実験に使用する尺度の選定とその使用基準の検討:使用尺度は自尊感情尺度日本版,自己意識尺度日本版,Rumination-Reflection Questionnaire日本版を候補に選定した.このうち自己意識尺度は日本独自の尺度であり,海外で作成された原本を反映したつくりではない点が問題となったことから,実施尺度を再選定した(現在最終調整中) 2)内省プログラムの内容と頻度の検討:内省用プログラムとして,Wellness Recovery Action Plan(WRAP:元気回復行動プラン)を応用することを検討し,内省プログラム実施を依頼可能な者のリストを作成した 3)実験用課題の作成:実験用課題として様々な意思決定課題を試作した.課題としての精度と,意思決定の次元の違いから,本実験に耐えうる課題であるかどうかは現在も予備実験を用いて検証中である.
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