研究課題
【背景】高血圧症患者は、自律神経活動の不均衡を生じ、左室負荷が増大して左室心筋重量が増加する。一方、下肢筋力が低下すると、運動時に筋交感神経活動が過剰に亢進する。本研究は、高血圧症患者における下肢筋力の低下が、運動時の交感神経活動の亢進や血圧上昇、動脈伸展性の低下を介して、左室心筋重量の増加につながるか否かを検討した。【方法】血圧が管理された高血圧症患者86例(69 ± 8歳)の等尺性膝伸展筋力、BNP、左室心筋重量係数を測定した。中強度負荷による自転車エルゴメータ運動負荷試験を実施した。運動負荷前に対する負荷後の血漿ノルアドレナリンの差(Δノルアドレナリン)を交感神経活動の指標、運動負荷前後の脈波伝播速度(ba-PWV)の差(ΔPWV)を動脈伸展性の指標とした。安静時と自転車エルゴメータ運動負荷試験時の最大収縮期血圧(SBP)の差(⊿SBP)を運動時の血圧上昇の指標とした。下肢筋力、⊿ノルアドレナリン、⊿PWV、⊿SBP、BNPおよび左室心筋重量係数における相互の関係を評価した。左室心筋重量の増加に関与する因子を抽出するために、左室心筋重量係数を従属変数、年齢、性 別、body mass index、安静時の収縮期血圧、ヘモグロビン A1c、LDL コレステロール、推算糸球体濾過量、下肢筋力を独立変数として重回帰分析を行った。【結果】下肢筋力は、⊿ノルアドレナリン、⊿PWV、⊿SBP、BNPおよび左室心筋重量係数と有意な負の相関を示した。⊿PWVおよび⊿SBPは左室心筋重量係数と有意な正の相関を示した。また、下肢筋力が左室心筋重量係数に対する規定因子として抽出された。【結語】高血圧症患者における下肢筋力の低下は、運動時の過剰な交感神経活動の亢進から血圧上昇および動脈伸展性の低下をきたし、左室心筋重量の増加に関与した。
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