高血圧症患者における筋力と運動時の血圧上昇および左室心筋重量(LVM)との関係を明らかにした。安静時血圧140/90 mmHg未満を維持している高血圧症患者を対象に、左室負荷指標と下肢筋力を測定した。自転車エルゴメーター運動負荷試験から、最大収縮期血圧と安静時収縮期血圧の差(⊿SBP)を運動時の血圧上昇の指標とした。心臓超音波検査にてLVMを算出した。重回帰分析の結果、LVMを規定する因子として筋力が抽出された。筋力は⊿SBPと有意な負の相関を示した。高血圧症患者において、下肢筋力の低下はLVMの増大を規定する因子であった。下肢筋力の低下は運動時の過剰な血圧上昇を介してLVMの増大に関与した。
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