研究課題
慢性期脳卒中片麻痺患者の歩行障害に対して運動閾値下での経皮的脊髄電気刺激(Transcutaneous spinal afferent stimulation; TSAS)による歩行類似筋活動パターンの誘導と歩行訓練の併用における効果を検討するために1)臨床使用可能な、携帯型のTSASを開発し、さらに2)TSASの治療的介入効果を無作為化比較試験(RCT)により検討することを目的とする。健側下腿三頭筋の筋活動より片麻痺患者の歩行周期を読み取るシステムを完成し、適切なタイミングで脊髄刺激を行える携帯型の脊髄刺激システムを完成した。本装置を用いて、無作為化比較試験「脳卒中片麻痺患者歩行障害に対する経皮的脊髄電気刺激による歩行機能再建の臨床研究」を継続。割り付けは中央割り付けとす、無作為に脊髄電気刺激+トレッドミル歩行群とトレッドミル歩行群に分けクロスオーバー試験とした。1週間に1回、15分間の歩行訓練を2回施行し、脊髄刺激+トレッドミル歩行群、トレッドミル歩行群ともに10回の介入を行い、前後で10m歩行速度ならびにトレッドミル歩行時の歩行解析を行った。現在までの症例は11例である。現在までに有害事象の報告はなく、安全に施行が可能である。10m歩行速度ならびに歩行の対称性の指標であるTime Symmetric Index (TSI)は脊髄電気刺激+トレッドミル歩行群において有意な改善を認めた。慢性期脳卒中片麻痺患者においても我々の開発した脊髄電気刺激を用いたトレッドミル歩行訓練は歩行速度を改善させた。歩行の対称性も改善させたことより、本法による歩行訓練による歩行速度の改善は非麻痺側による代償を強化したのではなくて、麻痺側下肢の機能改善によるものと示唆される。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件、 招待講演 5件)
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