研究課題/領域番号 |
26350588
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
島田 和典 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (60327814)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 心筋内中性脂肪 / MRスペクトロスコピー / 異所性脂肪蓄積 / 心臓リハビリテーション / 肥大型心筋症 / 高血圧性心疾患 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、研究代表者らが本邦において初めて確立した1H-magnetic resornance spectroscopy(MRS)法を用いて心筋内中性脂肪(TG)量を非侵襲的に測定し、異所性脂肪蓄積に対する新規評価法を運動プログラムも含めた治療介入の効果判定に応用することである。 本年度は、健常人、肥大型心筋症、高血圧性心疾患例に対し1H-MRS法を用いて心筋TG量を測定し、その臨床的意義を検討した。心筋TG量は0.85 ± 0.40%(平均 ± SD)であった。心筋TG量は、体脂肪率や血中TG量と有意な正相関、嫌気性代謝閾値や左室収縮末期容積と有意な負の相関を認めた。肥大型心筋症例の心筋TG量は1.09 ± 0.72%、高血圧性心疾患例は2.14 ± 1.29%であり、高血圧性心疾患例の心筋TG量は肥大型心筋症例に比し有意に高値であった(P<0.005)。肥大型心筋症例の心筋TG量は左室重量と有意な負の相関、高血圧性心疾患例の心筋TG量は左室駆出量と有意な負の相関を認めた。肥大型心筋症や高血圧性心疾患例は共に左室肥大を呈する疾患であるが、心筋TG量は有意に異なり、心形態や心機能との関連も異なることから、心筋における脂肪酸代謝やその蓄積に疾患特異性が存在することが示唆される。現在、心筋内TG量と、脂質・糖代謝関連指標との関連、骨格筋及び肝臓内TG量の同時測定を継続している。基礎研究では、高脂肪負荷およびアンジオテンシンII投与による心肥大代謝異常モデルマウスを作成し、心筋TG量と脂質・糖代謝関連指標、心機能との関連について検討を継続している。 今後は、運動療法による心筋TG量の変化、運動強度・種類・期間との関連、モデルマウスにおける運動介入による心筋内TG量の変化、介入効果を基礎的に検証する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
健常人、肥大型心筋症、高血圧性心疾患例に対する1H-MRS法による心筋TG量測定を行い、健常人における解析結果は英文誌に発表した。さらに、肥大型心筋症と高血圧性心疾例に関する解析結果は学会において発表し、現在論文作成中である。基礎研究に関しては、心肥大代謝異常モデルマウスを作成し、解析を継続している。
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今後の研究の推進方策 |
肥大型心筋症と高血圧性心疾例に関する解析結果を国内・海外学会で報告し、国内外の研究者と意見交換を進め論文投稿を行う。これらの疾患に対して運動介入を行い、心筋TG量の変化と運動強度・種類・期間との関連について検討を行う。 基礎研究に関しては、心肥大代謝異常モデルマウスを作成し解析を進め、さらに運動介入による心筋内TG量の変化、介入効果を基礎的に検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年2月での国際学会で研究内容の報告を行い、海外研究者との意見交換を行う予定であったが、日程調整が最終的につかず出張を断念した。この学会参加費に計上する予定の予算分を、次年度に繰り越した。
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次年度使用額の使用計画 |
前年度の繰り越し分は、動物モデル解析のための各種抗体や試薬、学会発表や情報交換のための参加費旅費に使用する計画である。
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