反復性経頭蓋磁気刺激(rTMS)は非侵襲性に大脳皮質局所の活動性を持続的に変化させる技術である。本研究では、一般的に使用される8の字コイルより深部まで刺激を到達させることが可能なダブルコーンコイルを用いて、亜急性期の下肢麻痺や高次脳機能に対する介入効果を確認した。 [急性期下肢麻痺に対する介入]亜急性期脳梗塞・脳出血患者21名を対象としたRCTにおいて、両側下肢運動野への10Hzの賦活性rTMSの効果を検証した。下肢麻痺の改善度(BRS)はrTMS群で0.67±0.82、sham群で0.15±0.32と有意差はないもののrTMS群で高く、体幹機能の改善度(ABMS2)はrTMS群で0.49±0.30、sham群で0.20±0.17とrTMS群で有意に大きかった。 [慢性期アパシーに対する介入]慢性期脳梗塞・脳出血患者14名を対象としたRCTにおいてmPFCからdACCへの10Hzの賦活性rTMSの効果を検証した。アパシースケール改善度はrTMS群で5.7±5.5点、sham群では-0.5±1.9点であり、有意にrTMS群で大きかった。QIDS-Jの改善度はrTMS群で7.0±6.2点、sham群で2.0±3.0点と、統計的有意ではないがrTMS群で高い傾向を認めた。 [回復期アパシーに対する介入]発症後1~3ヶ月の脳梗塞・脳出血で、GCSの開眼項目が3以上となってから1ヶ月に渡りapathy scaleが22点以上の患者7人を対象としたケースシリーズにおいて、mPFCからdACCへの10Hzの賦活性rTMSの効果を検証した。全対象において介入前後でASは31.1±4.3から23.7±5.3、CAS1は28.6±11.5から17.7±11.7、CAS2は62.6±21.0から40.1±17.3に有意に改善し、1日あたりの改善度は介入前1ヶ月間に比し介入中で有意に大きかった。
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