研究課題
(目的)成熟ラットを使った研究で、我々は脳外傷後の早期の運動が外傷局所で神経幹細胞を増加させることを明らかにした。今回、脳外傷後に高次脳機能障害を発症する加齢ラット脳外傷モデルを用いて外傷後の運動が脳外傷後に出現する神経幹細胞数の増加や神経幹細胞からの神経細胞分化への分化・生存・維持を促進し、脳外傷後に起こる高次脳機能障害を改善するであろうと考えた。本研究は加齢ラットを用いて①運動が及ぼす脳外傷部局所の神経再生②運動による高次脳障害の改善効果③蛋白レベル、遺伝子レベルでの運動による神経再生と高次脳機能障害の改善効果の機序を組織学的、生化学的、生理的及び運動学的手法を用いて解明することを目的とした。(方法と結果) Pneumatic control injury device(現有機器)を用いてWistar ラット(2年齢 ♂)の大脳表面に脳外傷を与えた。その後、強制運動としてトレッドミル負荷を1日、3回(1回/5分)、15分/1日加えた。運動群、運動後通常飼育群及び非運動群を屠殺し、損傷部位の中心より半径2.5mmの範囲から組織を取り出し、BIOXYTECH® MDA-586 (OxisResearch)を用いて過酸化脂質量(各群n=6)を測定し、運動期間の違いによる脳外傷後の過酸化脂質抑制効果を測定した。運動群において有意な過酸化脂質量の低下が認められた。さらに得られた組織切片を用いて8-OHdG及び4-HNEなどの過酸化脂質のマーカーの免疫染色、及びアポトーシスを測定した。運動群では非運動群に比較して陽性細胞数が有意に減少し、運動群で酸化ストレスが少ないことが証明された。
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