若年者と高齢者、脳卒中者、認知症者を対象に歩行中の方向転換課題における頭部定位反応時間とステップ運動戦略を記録した。頭部定位反応時間は、若年者・高齢者・脳卒中者・認知症者で相違があり、認知症者が最も遅延していた。方向転換運動は若年者、高齢者、脳卒中者では支持脚方向でステップターン運動戦略を、遊脚方向でスピンターン運動戦略を取るに対して、認知症者では両方向でステップターン運動戦略を取った。このような方向転換指示に対する頭部定位反応時間の遅延と方向転換ステップ運動戦略の特異性から、認知症者においては認知-運動情報処理機能及びongoing programの修正機能に問題があることが示唆された。
|