研究実績の概要 |
【諸言】生体には虚血に応答して血管を新生させる反応が内在し、運動や酸化ストレスなどの関与が考えられる。本研究はこの生理的反応を増強させうる運動について明らかする。【目的】虚血下肢モデルマウスを用い、運動やビタミンC(VC)摂取が血管新生におよぼす影響について検討した。【対象と方法】対象は野生型マウス(C57BL6,10週齢)21匹を用い、無作為に運動有無により3群に区分した。またVC合成不全マウス(SMP30/GNL,10週齢)23匹を用い、無作為に運動やVC摂取有無により5群に区分した。全群は12週齢の時点で外科的処置(右大腿動脈2箇所結紮:結紮)または切開のみ(Sham群)を実施した。運動は処置2日後より開始し(期間6週間,5回/週)、と殺は18週齢の時点で行い腓腹筋外側頭内側を採取した。血管新生はリアルタイムPCR法によりmRNA発現量(VEGF,HIF1α,PGC1α,IL6,FGF,kdr,TSP1,endostatin)を分析した。統計に際しては、GAPDH mRNA 発現量で除した相対値で、Kruskal Wallis 検定と多重比較を用いて検討を行った。研究は所属する動物実験委員会の承認を得て実施した。【結果】(1)野生型 結紮+運動有群はSham群と比較してPGC1αとIL6が有意な高値を示した。(2)VC合成不全 結紮+運動有+VC摂取有群はSham群と比較してIL6とHIF1αが有意な低値を示した。同様に、結紮+運動無+VC摂取無群と比較してFGFが有意な低値を示した。【結論】今回、野生型は先行研究と同様、PGC1αなどを介した血管新生に関するシグナル伝達の賦活化が示された。またVC合成不全はVC摂取により、PGC1αやFGFなどの促進因子に影響をおよぼした可能性が明らかとなった。
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