研究課題/領域番号 |
26350626
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
平岡 浩一 大阪府立大学, 総合リハビリテーション学部, 教授 (10321209)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 眼球運動 / 腕運動 / efferent copy / 視運動性反射 |
研究実績の概要 |
26年度における実験1の解析の結果、腕運動による眼球運動が生じることが確認された。しかしこの実験では頭部固定していないため、頭部の運動アーチファクトが生じていることが確認された。したがって、この腕運動による眼球運動が頭部運動アーチファクト由来であるかどうかに関する確認実験が追加実験として必要であると考えられた。そこで27年度では、追加確認実験として、頭部固定した状態での腕運動による眼球運動の発生を確認・検証した。また、腕運動時の固有感覚が眼球運動を誘発するという仮説を検証するため、腕運動主動作筋の固有受容感覚が眼球運動を生じるかについて検証した。 これらの実験の結果、頭部固定をすると、腕運動時の眼球運動出現の確率は腕安静時と有意差のないものとなった。また、時系列パラメータの観点から解析すると、腕運動主動作筋活動と頭部運動の潜時はほぼ同一であった。これは腕運動と頭部運動が同一タイミングでトリガされていることを示唆する。また、眼球運動潜時はそれら潜時と比較して有意に延長した。頭部運動がない場合には眼球運動が生じないことと併せて考えると、眼球運動は頭部運動に伴って生じる現象であると考えられた。腕運動主動作筋への振動刺激では眼球運動は発生しなかった。 これら27年度に得られた結果と、26年度に得られた、頭部固定をしないことによる腕運動随伴眼球運動の結果および腕運動主動作筋への振動刺激で眼球運動が誘発できなかった結果を併せると、腕運動に伴う眼球運動は、腕運動主動作筋収縮とほぼ同時に生じる予測的姿勢制御を機序とした頭部運動に伴って生じる視運動性反射に由来するものと推測された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これら平成27年度までの実験をもって、研究計画で計画していた実験1と実験2の内容はほぼ終了したと言える。実験1と実験2を踏まえた結果より、小脳への磁気刺激を用いた小脳機能が目と手の協応に及ぼす影響に関する研究は不要となったと考える。したがって本研究の結論に必要な実験の大部分は平成27年までの実験をもって終了したと考える。
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今後の研究の推進方策 |
28年度は26年度と27年度に得られたデータをさらに解析・考察して論文として投稿することを予定している。10月の臨床神経生理学会への報告及び国際誌への投稿を予定している。また、理学療法学術大会などの関連学会に出席してさらに本研究に関する洞察を深めることを進めていく。考察中に追加実験が必要になった場合、その手続きを並行して進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度内に購入使用する予定であった物品の必要が研究遂行上のスケジュール的な理由で次年度に繰り越されたため。
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次年度使用額の使用計画 |
この次年度使用金はこの次年度に繰り越された物品を購入するために使用する。
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