研究課題
人工膝関節全置換術患者(TKA)を対象とした多施設共同研究(大阪府下4病院;大阪急性期・総合医療センター,大阪労災病院,大阪南医療センター,大阪府済生会吹田病院)について,入院期間のデータに加え,退院1年の経過観察に関するアンケートについても情報収取を行い,終了した。これらのデータの整理,分析を実施し,学会発表に加え,3本の論文投稿を行なっている。変形性膝関節症患者はTKAによって,疼痛軽減や関節可動域の改善が術後早期から認められる一方で,歩行機能については,術前と同程度に回復するまで,術後数ヶ月必要とされている。しかし,本研究で実施した多施設共同研究によって,現状では歩行機能の改善が3週間で得られることが明らかとなった。これは,術式や術後リハビリテーションの発展によるものと考えられるが,理学療法のゴール設定にとって非常に重要な情報となる。また,このTKA術後患者の歩行にとって,下肢の筋力以上に,できるだけ下肢を素早く動かす能力,つまり運動速度が重要であることを明らかにした。この運動速度については,筋力以上に運動速度が重要であるという我々の仮説が支持された結果であり,本研究課題の最も重要な点である。また,介入研究については,人工透析患者に関するデータをまとめ,論文の投稿を行なっている。この研究では,人工透析患者においては筋力トレーニングよりも運動速度トレーニングが移動能力の向上に効果的であるだけでなく,患者さんの運動に対する抵抗感が低いことも示すことができた。さらに,女子バスケットボール選手や野球選手にとっても有効な手段であるという結果が得られており,これらについては,論文を作成している段階である。
すべて 2017
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (10件)
理学療法科学
巻: 32 ページ: 123~127
https://doi.org/10.1589/rika.32.123
巻: 32 ページ: 89~92
https://doi.org/10.1589/rika.32.89