研究課題/領域番号 |
26350629
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
立山 清美 大阪府立大学, 総合リハビリテーション学研究科, 講師 (70290385)
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研究分担者 |
伊藤 祐子 首都大学東京, 人間健康科学研究科, 准教授 (60289973)
有川 真弓 千葉県立保健医療大学, 健康科学部, 准教授 (90535410)
山西 葉子 県立広島大学, 保健福祉学部(三原キャンパス), 助教 (30423627)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 感覚統合療法 / 効果 / 自閉スペクトラム症 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、幼児期の自閉スペクトラム症児への感覚統合療法(以下SIT)の効果を検証することである。本年度は、効果測定にACIS(コミュニケーションと交流技能評価)、小児版意志質問紙 (PVQ)、ゴール達成スケーリング(GAS)と日本版ミラー幼児発達スクリーニング検査(JMAP)を指標に用いたSITの効果に関して学会にて経過報告を行った。 GAS は、海外においてもSIT効果研究の主要アウトカムに用いられており、以下、GASおよびJMAPを効果指標として分析した結果を報告する。対象児は、SITを初めて受けるものとした。年齢は、5歳2ヵ月±8.7カ月、10名全員が男児であった。IQまたはDQは88.0±20.4、診断は自閉スペクトラム症7名、発達性協調運動障害3名(うち2名は注意欠陥多動性障害を併存)であった。SITの実施頻度・期間は、2週に1回3ヵ月が8名、月に1回6ヵ月が2名であった。分析方法: GASは、各課題のスコアと重み付けに基づき所定の計算式により効果判定を行った。JMAPの総得点及び各指標の%スコアの前後比較には、Wilcoxonの符号付順位検定を用いた。結果:GASは、63.4±2.1で、全員が予測した以上の成果があったとされる50点を超える点数であった。JMAPは、言語指標(P=.014)と複合課題指標(P=.046)に有意な改善が認められた。また、総合得点においてP=.096と改善傾向が見られた。基礎能力指標、協応性指標、非言語指標には差を認めなかった。 これまでの報告では、介入期間が8~10ヶ月であるのに対し、本研究では、臨床での現状を踏まえて3ヶ月、あるいは6ヶ月という短期間であったが、GASは全員に予想以上の成果が認められ、JMAPも改善傾向にあった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成28年度の遂行課題は、①データ収集を引き続き行い、②成果(経過)を日本作業行動学会学術集会、日本感覚統合学会研究大会にて発表することであった。 研究成果(経過)の学会、学術誌での報告は、予定どおりに遂行できた。パイロットスタディの事例報告は、感覚統合研究に採択された。また、コミュニケーションと交流技能評価(ACIS)、小児版意志質問紙 (PVQ)など、各指標に用いたSITの効果について学会にて報告した。一方、データ収集は、介入群のデータは順調に進んでいるが、非介入群のデータ収集が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
非ランダム化比較試験のデザインにて分析ができるように、研究期間を1年間延長して、データ収集(特に非介入群)を進める。研究代表、分担者は、担当施設のデータ収集者と密に打ち合わせを行い、SIT介入前後の評価、SIT実施状況の把握、データの整理、分析を適時行う。平成28年度学会報告した内容は、年度の前半に学術誌に投稿できるよう、研究者(研究代表、分担者)会議を定期的に開催する。
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次年度使用額が生じた理由 |
データ収集が遅れているため、人件費・謝礼などに残額がある。
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次年度使用額の使用計画 |
研究期間を1年延長した。次年度、データ収集協力者への謝礼、英文校閲者への謝礼、研究打ち合わせに伴う旅費、報告書の作成に伴う印刷費などの支出を予定している。
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