研究課題
本研究は、血液透析治療を受けていない慢性腎臓病(CKD) 患者の内科的な疾患管理と併せて日常の身体活動量ならびに運動機能を継続的に管理し、運動管理指導の継続の有無の違いによる3年後の身体活動状況ならびに生命予後を比較検討することを目的としている。平成29年度は、本研究計画の5年間のうちの4年目であり、内科管理状況、身体機能(運動機能)ならびに日常生活活動を含む身体活動量の詳細が把握できた、すなわち本研究の対象者の取込み基準に合致した症例のテータ登録を80名以上に増やしたと同時に、それに並行して縦断的な変化の把握(測定、評価)も実施しており、身体活動量が保たれている患者群とそれ以外とで、腎機能の変化、さらには身体機能ならびに身体活動量の変化も把握できるようになり、運動療法としての長期効果の検討段階に入っている。平成29年度では、これらの横断的テータの解析を実施し、平成29年4月にメキシコで開催された世界腎臓学会(WCN、一般演題)、7月に相模原市で開催されたさがみ野血液浄化技術懇談会(特別講演)、同月に岡山で開催された血液浄化心不全治療研究会(特別講演)、12月に札幌で開催された第2回日本心臓リハビリテーション学会・北海道支部地方会(特別講演)、平成30年2月に開催された第37回城北腎疾患フォーラム(特別講演)、および3月に仙台で開催された第8 回日本腎臓リハビリテーション学会(シンポジウムおよび教育講演)において、それぞれ、成果発表を実施した。これらの成果発表は、血液透析治療が導入されていない慢性腎臓病患者(CKD患者)に対する身体機能ならびに身体活動量の管理の重要性を示すうえで、すなわち本研究の意義を示すうえで、大きく貢献できたと思われる。
2: おおむね順調に進展している
当初予定した患者登録数には未だ達していないが、今後約100名近くの患者の経過観察(2年間近くの縦断調査)が実施できるなど、概ね、研究の目的、すなわち、慢性腎臓病患者に対する疾患管理としての身体機能ならびに身体活動量の把握(運動療法、運動指導)の長期効果が把握できると思われる。
神奈川県、ならびに東京都の内科クリニック(透析クリニックを含む)における患者データの登録の整備が進み、さらに登録患者数を増やす予定である。さらに、運動指導(運動療法)等による長期効果として、身体機能ならびに身体活動量の把握に加えて、腎機能(糸球体濾過率等)への影響の分析を進めて行く予定である。それゆえ、今後も、データ採取を積極的に進めて行く予定である。また、本年度は最終年度であるため、 国内ならびに国外の学会での成果発表に加えて、投稿論文を作成する予定である。なお、平成29年度に引き続き、データ整理とデータ収集に従事する者を非常勤で雇う予定である。
次年度使用額が生じた理由は、評価機器の個数が今現在、足りている点や消耗品が予想したよりも少ない点が挙けられる。そのため、次年度に繰り越す金額が発生する。なお、今後、消耗品(現有機器)の入れ替えや新たなデータ追加、さらにはデータ採取のための研究員への対応等、ならびに国際学会等での成果発表等を考慮すると、計画に沿った予算が執行されると考えている。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 8件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (13件) (うち国際学会 4件、 招待講演 6件) 図書 (1件)
Renal Replacement Therapy
巻: 4 ページ: 1-8
10.1186/s41100-018-0146-y
J Ren Nutr
巻: 28 ページ: 302-308
10.1053/j.jrn.2017.12.012
巻: 4 ページ: 1-10
10.1186/s41100-018-0159-6
Journal of Bone and Mineral Metabolism
巻: 2018 Jan 15 ページ: 1
10.1007/s00774-017-0898-4
Kidney International Reports
巻: 2 ページ: 1096-1110
10.1016/j.ekir.2017.06.008
巻: 3 ページ: 56
10.1186/s41100-017-0136-5
BMC Nephrology
巻: 18 ページ: 154
10.1186/s12882-017-0569-7
Journal of Clinical Rehabilitation
巻: 26 ページ: 511-518