健常高齢者の認知機能低下を早期に把握することを目的とし、視覚性作業記憶課題を作成し、近赤外分光法装置(NIRS)を用いてタスクセット及びタスク時の脳血流反応を測定した。高齢者ではタスクセット期よりもタスクによる前頭前野賦活が顕著であるが、課題の繰り返しに伴い、前頭極部におけるタスクセット期の賦活が大きく、タスク中の賦活が減少する傾向がみられた。また、タスクセット期の脳賦活は前頭前野機能を評価する神経心理学的検査得点と有意に相関していた。これらのことから、前頭前野賦活の経時的変化の特徴は高齢者の認知機能を反映している可能性があると考えられた。
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