研究課題/領域番号 |
26350642
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研究機関 | 甲南女子大学 |
研究代表者 |
伊藤 浩充 甲南女子大学, 看護リハビリテーション学部, 教授 (40314497)
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研究分担者 |
市橋 則明 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50203104)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 股関節回旋可動域 / 振り向き動作 / 三次元動作解析 / 股関節外旋筋力 |
研究実績の概要 |
本年度は、まず、下肢への荷重条件下で回旋運動(振り向き動作)をした時、足関節の回旋(内外反、内外転)運動に及ぼす影響を検討した。健常な女性8名(16下肢)を対象に、立位、踵上げ立位、スクワット肢位の3条件で振り向き動作を行わせた時の足関節の回旋運動を三次元動作解析装置で計測し、足関節角度や関節トルクの変化量と股関節の回旋可動域や筋力との関係を調べた。その結果では、3条件のうち踵上げ立位での振り向き動作が、足関節の回旋運動に大きく影響し、股関節の回旋可動域との関係が認められた。 次に、20名の健常者(男性7名、女性13名)の右下肢のみを対象に、右下肢全体の内旋運動を行わせた時の股関節・膝関節・足関節の回旋運動を三次元動作解析装置で計測した。課題条件は立位、ハーフスクワット肢位、座位とした。その結果、下肢内旋運動は股関節の回旋運動だけでなく足関節の回旋の可動範囲にも大きく影響することが明らかとなった。 さらに、健常なラグビー選手8名(13下肢)を対象に、片脚での左右横跳び動作(片脚反復横跳び)をした時の足関節の回旋(内外反、内外転)運動に及ぼす影響を検討した。左右横跳び動作を行わせた時の足関節の回旋運動を三次元動作解析装置で計測し、股関節の可動域や筋力との関係を調べた。その結果では、外側から内側への切り返し時に足関節には外反トルク、内側から外側への切り返し時に足関節には内反トルクが大きくなっていた。そして、切り替えし時の足関節角度と関節トルクの変動量は、股関節の回旋可動域や筋力との間に中等度の相関が認められた。すなわち、股関節筋力が弱い者ほど切り返し動作時に足関節への回旋ストレスを受けやすいと考えられた。 これらのことから、足関節捻挫を予防するためには、対象者個々の股関節の回旋可動域に応じて、股関節の可動域と筋力を改善させる対策が必要であると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、主に閉鎖運動連鎖条件下で下肢回旋運動(振り向き動作や片脚反復横跳び動作)が足関節の回旋運動に及ぼす因子を調査した。その結果、振り向き動作中の足関節の回旋運動には、股関節の回旋可動域や筋力が影響因子であることが明らかとなった。しかし、対象者数が当初予定の半数以下となったため、今後さらに分析を追加していく必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は、平成27年度の研究を継続し、その後、その成果と平成26年度の結果に基づいて、股関節回旋可動域や筋力に着目した足関節捻挫予防プログラムを立案する。そして、スポーツ選手を対象に外傷調査および股関節の可動域や筋力などの身体能力検査(フィジカルチェック)を行い、足関節捻挫予防プログラムの効果を外傷発生率の観点から検証していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験補助者の可能な作業時間が予定より短くなったため、データ収集・解析が十分にできなかった。一方、備品においてデータ解析に必要なソフト解説書が追加の支出となった。旅費に関しては、学会参加のための支出は、予定どおりであった。最終的に、研究実施時間不足のため支出しきれず次年度に繰り越された。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度は、実験補助者への謝礼と、平成27年度の成果発表のための旅費、および備品費として三次元動作解析用ソフトウェアライセンス更新費用を予定している。
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