研究課題/領域番号 |
26350644
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研究機関 | 畿央大学 |
研究代表者 |
田平 一行 畿央大学, 健康科学部, 教授 (00388901)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 咳嗽力 / シミュレーション |
研究実績の概要 |
本研究は,声帯部分の抵抗を電気回路の可変抵抗で表したオリジナルの咳嗽モデルで流量波形をシミュレーションするものである. 今年度は,健常若年男性に食道バルーンを用いて,咳嗽時の胸腔内圧の変化を測定し,シミュレーションに利用した.これによって,シミュレーションの精度が飛躍的に向上した.但し,まだ被験者が少ないため,今後被験者を増やして行き,標準的な咳嗽時の胸腔内圧の変化を作成し,それを元に標準的な咳嗽時の流量波形を作成していく予定である. また,現在の標準モデルを他の被験者に利用して,シミュレーションしたところ,約70%は良いシミュレーションが得られたが,30%は実際の波形の方が低い傾向を示した.原因は,咳嗽時の呼気量が肺活量の30%程度と非常に低かったことと考えられた.これは,シミュレーションの精度の問題と言うよりは,咳嗽のスキルの問題と考えられ,トレーニングや指導をすることで,咳嗽力を高くすることが可能と考えられた.ある意味,シミュレーションが有効であることを示していると考えた. 今年度は,日本理学療法士学会,日本呼吸ケアリハビリテーション学会の各学術大会で演題を発表した.既に平成27年度の日本呼吸器学会では発表済みであり,日本理学療法士学会,日本呼吸ケアリハビリテーション学会には演題を登録した.また,27年度は欧州呼吸器学会にも演題を登録しており,発表予定である. 平成27年度の予定としては,標準モデルを完成させるために健常者のデータ収集に努める予定.十分なデータが得られば,健常高齢者,呼吸器疾患患者の測定も行い,その精度や咳嗽力低下の原因判定について検討したいと考えている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成26年度は咳嗽時の胸腔内圧を測定し,標準的な咳嗽モデルを作成することであった.しかし,研究者本人の体調不良(頚椎症)のため,十分に実験を行うことが出来なかった.現在は回復しているため,今後実験を進めることは十分に可能と考える. 一方,まだ不十分ではあるものの,現時点での標準モデルを用いて,他の健常者の咳嗽時流量波形をシミュレーションを実施したところ,比較的良好な結果が得られ,良い感触は得ている.
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は咳嗽時の胸腔内圧を測定し,標準的な咳嗽モデルを作成することであったが,上記のごとく研究者の体表不良のため十分に進まなかった. 今年度は,昨年度の続きを実施していく予定である.既に,研究室仲間に被験者および研究協力の承諾は得ているので,順調に進むと考えている. 健常高齢者については,地域の健康増進に関わっている研究者の協力を得られることが決まっており,標準モデルが出来た段階で,健常高齢者の測定も可能になると考えている.
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度は,研究者の体調不良のため十分に測定が出来ず,謝金や消耗品が発生しなかった.
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度は,研究の遅れを取り戻すために測定を増加させ,10人分の謝金に充てる予定である.
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