研究課題/領域番号 |
26350648
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
金子 秀和 独立行政法人産業技術総合研究所, ヒューマンライフテクノロジー研究部門, 主任研究員 (20356801)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 学習 / 運動感覚 / ラット / 動作補助 |
研究実績の概要 |
我々は、脳梗塞後のリハビリ訓練中に動作を補助し、動作関連筋肉及び関節に深部感覚を誘発することによって、学習過程及びリハビリ過程の促進効果が現れると考えている。これまでに選択反応時間タスクの逆転学習を片側前肢感覚運動野脳梗塞ラットに行わせたところ脳損傷部位対側前肢に関する学習機能が低下していることが分かっている。本研究では、同様の条件下で、強制的に応答動作を誘発することによって本タスクの学習過程が促進されることを実証する。その際、強制的に応答動作を誘発させる前肢の側及びタイミングの影響を統計解析し、学習やリハビリ過程を効果的に促進しうる動作補助条件を明らかにする。 平成26年度は、健常ラットに選択反応時間タスクの逆転学習を行わせ、空圧刺激に同期して正反応側あるいは誤反応側レバーを駆動した場合のエラー率の改善の速度を比較した。その結果、レバー駆動側の違いによって学習速度に違いが生じていた。このことから、レバー駆動に伴う運動感覚呈示によってタスクの学習過程に介入可能であるのではないかとの知見を得た。また、本タスクの遂行時にラットの応答動作のタイミングを予測する技術を確立するため、神経や筋肉などの生体信号あるいはレバー押力の変化を利用した応答動作タイミングの予測技術をについて検討した。その結果、ラットの神経細胞活動電位や筋活動電位などの生体信号を利用するのではなく、レバー押力の変化を計測して応答動作寸前のレバー押力の変化から応答動作タイミングを検出するのが現在の動物実験装置の状態に適しているだろうと考えられた。そこで、レバー押力計測装置を設計し、試作品に関して動作確認を行ない、数十グラム重程度のラットのレバー押力を計測可能であることを確認した。これによって、レバー駆動によって生じるであろう運動感覚を随意的な運動指令に合わせて付加することが可能になると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の目標は、運動感覚の呈示によって学習過程に介入できるかどうか検討することが目標であった。この目標を達成しているので、おおむね予定どうりに研究は進捗していると考えている。但し、レバー押力の計測値から応答動作タイミングを検出する部分に関しては試行間のレバー押力の変動など、今後検討を要するものと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
レバー押力の計測値から応答動作タイミングを検出する部分は、応答動作補助の効果を明らかにするという本研究の最終段階で最も重要な要素技術である。平成27年度中に解決したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度にレバー押力計測装置を4台の動物実験装置に組み込むべく本予算を使用する予定であったが、当該年度には本計測装置の設計とブレッドボード(電子回路試作ボード)による試作品の動作確認までしか実施できなかったため、動物実験装置に組み込むための装置の部品等の購入のための予算を執行できなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度以降にレバー押力計測装置を4台の動物実験装置に組み込むべく、基板の製作を行なう。
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