研究課題
最終年度となる平成28年度では,試作器に対し,安全な移乗のための改良を加えた.● 後方確認用センサの追加: 本移乗器を用いて被介助者を移乗器から椅子等へ移乗する場合,被介助者の陰に椅子が隠れてしまい,介助者が椅子等の位置を目視しづらいという問題があった.そこで本研究では,移乗先の位置を把握するためのセンサ(赤外線測距センサ)を追加し,さらにセンサで取得した情報を視覚的に介助者へ伝えるために,モニタ用LED部を新たに追加した.モニタ用LEDは移乗器と椅子の接近距離に応じて,青(安全),黄(注意),赤(危険)を点灯する.● ブレーキ機構の改良: これまでの試作機では,ブレーキ機構の実現のために,ブレーキ付きキャスタを前輪2輪に用いていた.ブレーキバーを移乗器の前方に配置することにより,介助者はそれを片足で操作することが可能であったが,操作性はあまり良いものであるとは言えなかった.また,本移乗器の特徴となるスライディング機構において,介助者が副フレームを押し込む際に,斜めに力がうまく入らず,スライドがスムーズに行えない状況が見られた.そこで,これらの問題を解決するために,片側にしかフリー回転できないワンウェイクラッチの原理を応用し,“フリー回転の方向を変更できる片側ブレーキ”および“両側ブレーキ”が電動で切り替えられる新機構を考案し,移乗器に実装した.その結果,介助者は足を使わずに手元でブレーキをかけることができ,またスライドがスムーズにいかない場合,仮に手を放しても副フレームが戻されることがなくなり,安全な移乗が可能となった.
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (2件) (うち謝辞記載あり 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件)
Advances in Mechanical Engineering
巻: - ページ: 1-11
10.1177/1687814017695179
地域ケアリング
巻: Vol.18, No.8 ページ: 69-71