研究課題/領域番号 |
26350654
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
渡辺 哲也 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (10342958)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 視覚障害者 / 触地図 / 案内図 / 画像処理 / 立体コピー / 点字 / 点字フォント |
研究実績の概要 |
研究計画で予定していた四つのサブ研究のうち、(1)、(3)、(4)と、研究計画にはなく新たに始めた取り組み(5)について以下に説明する。 (1) カラーの案内図から壁を線図として抽出するソフトウェアの開発に取り組んでいる。案内図内の壁の色を抽出するだけでは、引出し線や施設記号などが壁に重なった箇所に欠けが生じる。この欠けを埋めるアルゴリズムを考案中である。ここまでの研究成果を、その成果は、視覚障害リハビリテーション研究発表大会で発表した。 (3-1) 既存の墨点字フォントをどのサイズ(ポイント)で印刷すれば触読しやすいかを実験で検証してきた。その研究成果をまとめて学術雑誌に投稿したが、被験者数が少なく信頼性が低いとして不採録となった。現在、被験者を増やすため視覚特別支援学校と調整中である。(3-2) 立体コピー用紙に印刷したときの触読しやすさを考慮した点字フォントを新たに開発した。その有用性を触知実験によって検証した。その研究成果を、視覚障害リハビリテーション研究発表大会で発表した。この点字フォントをWebで公開する準備を進めている。(3-3) 立体コピーの膨張に影響を与える要因について実験によって検証中した。その研究成果を、電子情報通信学会 福祉情報工学研究会で発表した。更に、特別なニーズのある人々を支援するコンピュータに関する国際会議に投稿し、採択された(平成28年7月発表予定)。 (4) 触地図Webサイトを構築し、これまで作成してきた触地図のうち、公共的な場所のもの60枚をこのサイトにアップロードし、だれでも閲覧・ダウンロードできるようにした。 (5) 3Dプリンタで地形模型を作成し、これを視覚障害者向けイベント等で視覚障害者に触ってもらった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画で予定していた四つのサブ研究:(1) 彩色図から壁を線図として抽出するソフトウェアの開発、(2) 建築図面から壁を線図として抽出するソフトウェアの開発、(3) 触読しやすい点字フォントの開発、(4) 触地図Webサイトの構築のうち、 (1)、(3)、(4)に取り組んだ。 (3)については、点字フォントの開発とその評価実験は終了した。また、立体コピーの膨張に影響を与える要因についても実験が終了し、その成果を国際会議論文としてまとめることができた。このように当初の計画以上に研究は進展した。(4)については、Webサイトを構築し、これまで作成してきた触地図をこのサイトにアップロードし終えた。他方で、(1)と(2)の開発の進捗は遅れ気味であるので、全体としての達成度を(2) おおむね順調とした。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は、(1) 彩色図から壁を線図として抽出するソフトウェアの開発と、(2) 建築図面から壁を線図として抽出するソフトウェアの開発に集中的に取り組む。 (3) 触読しやすい点字フォントについては、既存の墨点字フォントをどのサイズ(ポイント)で印刷すれば触読しやすいかについて引き続き実験を行い、信頼性あるデータとする。特に、後天性の視覚障害者のデータ数が5人と少ないので、これにあと5人程度追加する予定である。 以上の研究の成果について、国内研究会、学会誌を通じて発表する。また、視覚障害者向けのイベントで研究成果を紹介する。 触地図Webサイトについては、新しい触地図を作成したら、その都度サイトにアップロードする。
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備考 |
これまでに作成してきた触地図を掲載。誰もが閲覧・ダウンロードできる。
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