研究課題/領域番号 |
26350656
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
柴田 克之 金沢大学, 保健学系, 教授 (60178902)
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研究分担者 |
中嶋 理帆 金沢大学, 保健学系, 助教 (60614865)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 腰部圧迫力 / 介助動作 / 移乗・移動動作 |
研究実績の概要 |
研究目標:今年度の主要目標は、介助動作における腰部背部に負担の少ない効率的な動作を定量的に提示することであった。この研究期間では、計測システムの精度と簡易化を目標に検討していく期間である。 方法:大学の実験室の環境下で、健常者を対象にした模擬患者をベッド上に臥床させ、介助者がre-positioning動作を実施する課題である。計測には臨床場面で測定が容易な無線式センサー(角度計、加速度計)による測定法と簡易な2次元画像による撮影を行い計測の精度と計測の再現性を担保させるために、繰り返し試行間再現性を確認した。 結論:臨床場面でも容易に使用できる簡易な加速度センサーによる結果と2次元画像から算出した結果の試行間再現性は保たれていることが確認できた。そしてRe-positioning時の介助動作における介助者の腰部圧迫力は、最小値(2500N)から最大値(7000N)の範囲を示すことができた。この計測値は先行研究で報告されている介助動作より、有意に高値であることが分かった。また臨床場面においては、26年度,27年度の2年間に渡り複数の医療、福祉施設において介助負担の大きな介助動作に関して主要な動作を抽出してきた。介助中の画像から身体的な負担を生体力学モデルでの解析を継続的に行っており、27年度の後期は、実験室の環境で上記の力学モデルを用い、様々な介助動作を行い、腰部および頚部の圧迫力のデータを構築してきた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計測時の精度と計測の再現性が保障できるように、課題や測定条件を調整しながらデータを収集している。データのサンプル数は十分ではないが、研究計画の流れに従い、進行している。
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今後の研究の推進方策 |
28年度以降は今まで構築してきたデータベースを基に新たな研究段階に入る重要な年度となる。実験室の環境で得られたデータを基に、「臨床場面の実践的な介助動作の研究」へと発展させて行く予定である。具体的には臨床場面に出向き、職員に簡易センサー(頚部、腰部の傾斜や回旋、加速度)を装着して医療福祉部門における介助負担度を系統だて、リスクレベルの一覧表を作成すること。加えて工学的手法による測定のみならず、介助、介護に携わる職員への主観的な評価(感応尺度)を用いて、負担度も定量化できることを検討していく。そして介助動作中の腰部および頸部の負荷量(L5/S1,C5/C6椎間板内の圧迫力)を算出し、リスクの少ない介助方法や福祉用具の活用が腰部,頚部の圧迫力を軽減する効果を具体的な数値で示していきたい。大学内で実施してきた基礎的な課題に基づき、活動と腰部への荷重量の標準データを対応させていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
既に所有している測定機器を用いて、本年度の課題を実施していたことから、新たに機器を購入して異なる機器で計測しなかった。しかし現有の機器は、他の研究との使用が重複する可能性が生じることから、当初購入予定年であった測定機器の購入を結果的に遅らせることになった。
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次年度使用額の使用計画 |
超音波式動作解析装置と簡易型角度センサーを購入する計画である。
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