平成29年度: 現有している動作解析装置(Zebris CM-10)を用いた測定は、今まで実施してその計測精度は確認されている。しかし本装置を実際の臨床場面に持ち込み、計測することは現実的ではない。そこで体に簡便なセンサーを装着し臨床活動の妨げにならない小型の加速度センサーと計測装置を作製することが以前からの懸案事項であった。そこで28年度から企業と共同研究を行いながら、小型センサーと計測装置のシステム作りに研究目標を設定した。センサーは既存の3軸加速度計を用い、3ヶ所のセンサーの座標位置から、関節の変位、角度、角速度、角加速度を計測できること。また動作中に外部のスイッチでマーカーを入れ、計測後に動作の変換箇所を確認できるようにした。 対象:介助者は健常成人12名 方法:実験室でダミー人形を用いて、指定した介助動作を実施した。研究課題はベッド上、背臥位の重度患者を、介助者である被験者が模擬患者を上方(15cm)へ 移動する動作を行わせ、介助中の腰部圧迫力・剪断力を算出する。超音波式動作解析装置で計測した身体各部位の座標位置のデータを収集して、一旦オフラインで腰部圧迫力を算出する。続いて簡易型身体各部位の変位から体幹の傾きと両上下肢の座標を求め、両システムによる計測値の近似性を検証する。 本研究の成果によって、加速度センサーによる身体各部位の変位は、誤差±15mm未満であり、施行回数を繰り返し計測値の高い信頼性を立証することができた。また臨床場面の介助動作を簡便に計測できる機器を通じて、腰部負荷の定量化からリスクの低い介助方法を明らかにする。さらに効率的な介助方法や福祉用具の活用を提言することができる。従って異なる計測手法で計測した経験即から、腰部圧迫力の算出方法についての最適化、つまり解析デ ータの再現性、精度、測定の簡便性に優れた測定手法を選出することができた。
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