研究課題/領域番号 |
26350661
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
中藤 良久 九州工業大学, 大学院工学研究院, 教授 (10599955)
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研究分担者 |
松井 謙二 大阪工業大学, 工学部, 教授 (30613682)
加藤 弓子 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 研究員 (10600463)
水町 光徳 九州工業大学, 大学院工学研究院, 准教授 (90380740)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 高齢者 / 聴覚機能 / 保護 / 改善 |
研究実績の概要 |
平成28年度の実施計画では、以下の実績が得られた。 (1)聴覚機能の保護技術の構築に関する実績 聴取者に気付かれないような速度で音量を安全なレベルまで下げることが可能かどうかの検討については、楽曲中の伴奏、Aメロ、サビ、サビ直後の計4か所での減衰知覚レベル差の違いを評価した。その結果、伴奏部分は減衰知覚レベル差が約13dBと比較的大きいのに対して、サビの部分は9dBと比較的小さいことが分かった。これは伴奏は歌詞がなく比較的変化が少ないため減衰に気付き難いが、一方、サビは曲調に起伏があるため減衰に気付きやすい傾向があると考えられる。 (2)聴覚機能の改善技術の構築に関する実績 聴覚機能訓練システムを用いた聴覚機能の改善については、70歳台の高齢者5名に対して、訓練に7段階の難易度を設定して訓練を行い、訓練の難易度の変化によって聴能の改善を評価する方法を検討した。その結果、訓練難易度が高くなるにつれて、音声の微小な違いまで弁別できることが分かった。一方、訓練期間が終了してから期間が空いた場合の訓練効果が持続性について調査を行った。その結果、6ヶ月後と1年後に語音明瞭度検査を実施すると、訓練前と比較すると語音明瞭度はやや低下するが、改善効果が持続していることが分かった。 一方、明瞭度の低い高齢者音声の明瞭度を改善する方法として、フォルマント周波数シフトによる音声明瞭化システムの性能評価を行った。具体的には、フォルマント周波数のシフト量が既知の場合と未知の場合の比較を行った。その結果、低明瞭高齢者ではシフト量が既知、未知にかかわらず、すべての単語において補正効果が見られた。一方、標準的な話者に関しては、一部効果が見られない単語があった。すなわち、話者音声が元々明瞭であるかどうかによって、フォルマント周波数シフトの効果が異なることが分かった。
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