研究課題/領域番号 |
26350662
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
大柳 俊夫 札幌医科大学, 医療人育成センター, 准教授 (70177020)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 反応時間課題 / 注意障害 / タブレット |
研究実績の概要 |
本研究課題は、高齢者や脳損傷患者らの対象者が自宅で日々の注意機能の状況を把握し、日常生活を安全に送れるように支援するシステムの開発を目的としており、本年度は以下の研究・開発を行った。 (1)昨年度開発した3種類の反応時間課題をApple社のiPad Air2端末(9.7インチ)を利用して健常成人を対象に予備実験を行った結果、a) 昨年度開発した反応時間を高精度で計測できる小型機器を利用することが在宅の高齢者には困難と推測できること、b) 注意機能と密接に関連する周辺視や眼球運動を要する課題では9.7インチの画面の広さでは不十分であること、が明らかとなった。これらの課題の解決として、利用する端末をApple社のiPad Pro 12.9インチに変更し、在宅で利用する場合には反応時間を高精度で計測できる機器を利用しないこととし、このためのアプリケーションの修正を行った。 (2)アルバータ大学の研究者らが開発した認知機能を評価するためのもぐらたたきゲーム(Android上で動作)を改良して、iPad Pro 12.9インチで利用する注意機能の改善をめざしたトレーニングのための新しいもぐらたたきゲームを開発した。また、注意機能は眼球運動と密接に関連するため、JiNS社のMEMEを利用した眼球運動を訓練するためのゲームも開発した。 (3)(2)で開発した新しい2種類のアプリケーションを実験で利用するための倫理審査の追加申請を札幌医科大学に提出し、許可を受けた。そして、健常成人、健常高齢者、脳損傷患者、パーキンソン病患者らを被験者として(合計人数は10名)、開発したアプリケーションを利用したデータ収集を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初予定していた9.7インチのiPadの利用を変更したための修正や新しいアプリケーションの開発を行ったために、健常高齢者や脳損傷患者を対象者とした実験を十分に行うことができなかった。しかし、実験で利用するアプリケーションの開発を終え、また実験を実施するための倫理審査も済んで、実験を開始しており、次年度の早い段階で当初予定していた実験を完了させる準備は整っている。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度の前半で、より多くの被験者を対象とした実験を行い、その後、在宅で利用してもらう被験者を選定して実験を継続して行う。これらの実験で収集したデータをデータベース化して分析を行い、本研究課題の成果をまとめ論文や学会で公表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
高齢者や脳損傷患者らの対象者による実験を十分に実施できなかったため、実験で必要な人件費や謝金のための支出を行わなかった。また、論文の作成や学会発表を行わなかったために、翻訳・校閲のための支出を行わなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
実験で必要な人件費や謝金、データ整理の補助などの謝金、ならびに論文の作成や学会発表のための翻訳・校閲のために使用する計画である。
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