研究課題/領域番号 |
26350675
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研究機関 | 東京医療保健大学 |
研究代表者 |
今泉 一哉 東京医療保健大学, 医療保健学部, 准教授 (50454179)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 介護予防 / 高齢者 / 足アーチ / 足圧分布 / 衝撃吸収 |
研究実績の概要 |
高齢者の介護予防と健康支援体制の確立が社会的に急務である.足部は重心保持・移動の作用点であり,扁平足やハイアーチなどの足アーチの異常は下肢の疼痛や障害を誘発すると考えられる.しかし,足アーチの定量的な評価システムはほとんどなく,高齢者における足アーチの実態データもまれである.足部には足弓を形成する縦方向のアーチがあり,荷重に対して変形することで衝撃吸収の機能を果たすと考えられる.本研究においては,足圧分布データを用いて,足への荷重に対する変形の特性を考慮し,歩行など衝撃吸収機能まで含めた,足アーチの分類・評価システムを開発することを目的とする. 本年度の研究課題として,①静的な荷重条件による足圧分布データの取得と特徴の分析,②足の三次元形状や身体機能などの関連因子との比較があった.このため地域の運動教室等に参加する高齢者および対象群として若年者を対象に,足圧分布,足の三次元形状データ,足指力の測定および,ロコチェック25や、足部の障害や痛み、運動習慣に関する質問紙調査等を実施した。その結果,①については,昨年度までの予備検討と同様に,姿勢変化によって足圧分布が変化する特徴を確認したほか,足圧分布データを処理する場合に,足趾の領域の特定が難しい場合があり,このことが足アーチ評価の結果に影響することがわかった.そこで,足趾領域を特定するためのデータ処理方法を検討し,内容の一部は,関連学会にて発表した.②については,外反母趾の有無は,運動機能に直接影響を与えないことを明らかにし,その一部を関連学会について発表した.この成果に基づいて,足指力の新しい測定方法も検討している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は,足への荷重に対する変形の特性を考慮し,歩行中など衝撃吸収機能まで含めた,足アーチの分類・評価システムを開発することを目的としている.前年度までの予備検討で,姿勢を変えることで足アーチへの荷重が変化し,その変化が足圧分布データに反映される可能性を示してきた.本年度においては,対象者数を50名追加して,荷重変化時の足圧分布の特徴を確認することができた.また,このデータ分析を通して,足圧分布データにおいて,足趾領域の処理において曖昧さが残されており,このことがアーチ評価の結果に影響する可能性があることを明らかにした.そして,これを解決するためのデータ処理方法を検討した.足の形状や,衝撃吸収特性は筋力や活動度などその他の要因にも影響を与えられると考えられるため,関連要因の分析を行った.その結果,外反母趾は足指力やロコモ度などの運動機能に直接影響しないことを示した. 以上のことから,本研究の最終的な目標である荷重変化特性を考慮した足アーチの評価システムの開発のために必要なステップは着実に進めており、来年度以降は,足圧分布と地面反力との同時測定や,モーションキャプチャやよる足ランドマークの測定を確実に実施するための準備が整ってきたと考える.
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の方向性としては、荷重や形状変化について,既存手法との比較を行ってシステムの方向性と妥当性の検討を行う.平成27年度においては,①足圧分布と地面反力の同時測定を実施する.対象は地域の運動教室等に参加する高齢者とする.測定動作は,静止立位時として両足立ちおよび片足立ちの姿勢の変化,および歩行動作とする.②姿勢変化および歩行によって,地面反力の変化つまり,足アーチへの荷重の変化が見られることを確認した後,足圧分布との対応を検討する.次に,③モーションキャプチャシステムおよび,足の三次元形状測定装置を用いて,足アーチの形態学的ランドマークの変化を直接的に計測し,足圧分布との比較を行う. 平成28年度においては,これまで取得したデータに基づいて,足圧分布データから足アーチの荷重変化を評価する方法を検討する.具体的には,足アーチ構造のモデル化を行い,それに基づいて,足アーチのスティフネスの評価を行う.足アーチのランドマークのデータと比較しながら,適用方法を検討する.最後に,有効性の確認のための実験を実施する. 本研究の実施にあたっての課題は,実験対象者の安定的な確保と,信頼性の高い測定のできる環境づくりである.対象者については,地域の体操連盟や行政との連携体制がとられており,研究成果の一部は,対象者にフィードバックされている.測定環境については,バイオメカニクスを専門とする連携研究者と共同で実験実施できるように準備している.
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度において行った高齢者実験結果の分析を通じて,足圧分布データの処理方法に課題が見られたことから,その分析処理方法の検討を重点的に行った.そのため,地面反力測定のための機器導入および準備を年度後半に回すこととした.その後データ処理の問題について解決できる目途がたったことから,地面反力測定のためのセンサの導入の準備を開始したものの購入が次年度となり,繰越が生じた.
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の使用計画としては,①繰越と合わせて地面反力の測定のためのセンサを購入するほか,②実験実施のための三次元足形計測装置のレンタルおよび輸送費,③実験補助者やデータ整理等の謝金,④成果発表のための旅費等に使用する予定である.
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