高齢者の介護予防と健康支援体制の確立が社会的に急務である.足部は重心保持・移動の作用点であり,扁平足やハイアーチなどの足アーチの異常は下肢の疼痛や障害を誘発すると考えられる.しかし,足アーチの定量的な評価システムはほとんどなく,高齢者における足アーチの実態データもまれである.足部には足弓を形成する縦方向のアーチがあり,荷重に対して変形することで衝撃吸収の機能を果たすと考えられる.本研究においては,足圧分布データを用いて,足への荷重に対する変形の特性を考慮し,歩行など衝撃吸収機能まで含めた,足アーチの分類・評価システムを開発することを目的とする. 本年度の研究課題として,荷重や形状変化について,データ収集を行い評価方法を検討する.平成28年度においては,①足圧分布と地面反力の同時測定を実施した.対象は地域の運動教室等に参加する高齢者45名であった.測定動作は,静止立位時として両足立ちおよび片足立ちの姿勢の変化とした。②足の三次元形状測定装置を用いて,同じ動作による足アーチの形態学的ランドマークの変化を直接的に計測した。③歩行中の変化を検討するために,歩行中の足圧分布と足部の加速度の測定を実施し,時空間変数を算出した.これらのデータに基づいて,足圧分布データから足アーチの荷重変化を評価する方法を検討している.具体的には,足アーチ構造のモデル化を行い,それに基づいて,足アーチのスティフネスの評価を行う.足アーチのランドマークのデータと比較しながら,適用方法を検討する.併せて,左右方向の横アーチと関連する外反母趾や疼痛等との関係を検討した.
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