研究課題/領域番号 |
26350677
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研究機関 | 佛教大学 |
研究代表者 |
谷田 惣亮 佛教大学, 保健医療技術学部, 講師 (20584494)
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研究分担者 |
菊池 武士 大分大学, 工学部, 准教授 (10372137)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 福祉用具・支援機器 / 制御型短下肢装具 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,(1)継手軸が調整可能な計測用短下肢装具を開発して歩行データを収集することで,(2)制御型短下肢装具(i-AFO)の最適な足関節制御モデルを構築し,(3)有疾患者による臨床評価から装具および制御モデルの有効性を検証することにより下肢機能障害者の歩行改善を目指すことである. これらの研究目的の達成のために,次の5つの事項を実施しているところである.①継手軸が調整可能な計測用短下肢装具を開発する.②健常者による歩行実験を行い,歩行データを収集する.③ ②によって得られたデータから制御型短下肢装具(i-AFO)の制御モデルを構築する.④計測用短下肢装具を用いて,有疾患者による歩行実験を行う.⑤制御型短下肢装具(i-AFO)および制御モデルの構築・改善をする. 平成27年度は,平成26年度に継続して上記の事項②を実施した.開発してきた計測システムの改良と検証を行いながら,健常被験者による歩行実験をさらに実施することで歩行データの集積と解析を行った. また,事項③については,これまでに集積・解析してきた歩行データから歩行条件によって変化する歩行パラメータを抽出し,制御型短下肢装具(i-AFO)の制御モデルを構築した.制御モデルは先行研究での成果もふまえながら,様々な歩行速度に応じたより実用性の高いものを構築し改良した. さらに,事項④については,足関節の制御が困難な患者による歩行実験を通して,制御モデルの検証を実施した. これらを通して,短下肢装具の更なる軽量化と簡易化が改めて再認識されたことや,より適用範囲が広い装具の必要性から,生体適合性の高い簡易装具の研究開発を実施した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要で示したように,平成27年度の実施事項である事項②,③,④をおおむね実施できている.種々の有疾患者での検証は装具の適合の関係から不十分であったが,足関節の運動が困難な患者による歩行実験を通して,制御型短下肢装具(i-AFO)およびその制御モデルの検証ができた. さらに,歩行実験を行いながら改良を行うとともに,軽量化と簡易化を図った新たな簡易装具の研究開発に着手できた.
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今後の研究の推進方策 |
今年度は,まず事項③,④を実施する.これまでに開発してきた計測システムによって得られた歩行データをもとに,継続して制御型短下肢装具(i-AFO)の制御モデルの改良を行う.制御モデルでは,歩行速度に応じた制御を行っているが,他の歩行パラメータを用いることで,より簡易にかつ効率的に制御ができるようにしたい.これらの改良を加えながら,さらに有疾患者による歩行実験を実施する予定である. 次に,これまで実施してきた実験結果から,制御型短下肢装具(i-AFO)自体の改良を行い,小型・軽量化を含めて負担の少ない装具の開発を進める.具体的には,より軽量で簡易な装具とすることで,装着による負担を軽減し,対象者の下肢形態の多様性にも対応できるようにしたい. 本研究を通じて,有疾患者のみならず高齢者なども含めて下肢機能に問題のある者の歩行を支援できる装具作成を目指したい.
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次年度使用額が生じた理由 |
有疾患者を対象にしたが,装具の適合性の問題あり,多様な疾患での検証が不十分になったことがあげられる.また,実施した有疾患者においてもボランディアとして協力いただけたことがあり,それらの謝金が計上されていないことがある. また,物品費において制御型短下肢装具の改良コストや,実験消耗品の費用が当初の予定より抑えられたことがあげられる.
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次年度使用額の使用計画 |
今年度は,制御型短下肢装具(i-AFO)自体の改良を行い,小型・軽量化を含めて負担の少ない装具の開発を進めていく.そのための開発費とその検証のための実験費用に資金を充てる予定である.
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