研究課題/領域番号 |
26350679
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研究機関 | 大阪電気通信大学 |
研究代表者 |
疋田 真一 大阪電気通信大学, 工学部, 講師 (00347618)
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研究分担者 |
小野 貴彦 広島市立大学, 情報科学研究科, 准教授 (20312613)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 視線 / 眼球運動 / カメラ |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,病気や怪我で手足が不自由となった運動弱者(ユーザ)の生活の質を改善するため,ハンズフリーでPCや携帯情報端末を利用できるメガネ型の視線入力装置を開発することである.平成27年度は,前年度に続いて,視線追跡メガネの改良,自然光下における眼の特徴点検出,および視線入力方法の検討に取り組んだ. 改良した視線追跡メガネは,市販の軽量メガネフレーム,超小型カメラ,メガネフレームとカメラを接続する独自設計のジョイントから構成される.このジョイント(重さ8.2[g])は,強度と軽量化を両立させるためのハニカム構造をもち,ユーザの眼球位置に合わせてカメラの位置と姿勢を調整でき,最大で幅7[mm]のメガネフレームに超小型カメラを接続できるように設計・製作した. 自然光下における眼球特徴点の検出については,bilateral filterと二値化に基づく方法により抽出した特徴点位置が視線方向に対応して変化することを確認するとともに,照明環境の変化に応じて二値化の閾値を自動決定する方法を開発した. 視線を利用したハンズフリー入力システムの応用として,携帯情報端末の組込みカメラからユーザの顔画像が得られることを想定した入力方法を開発した.この方法では,眼球運動による操作に加え,頭部回転運動も検出して,頭部および眼球の両運動からユーザが操作対象となるアプリケーションに対して指示した方向を推定する.被験者10名に対して電子書籍のページめくり実験を行ったところ,眼球運動,頭部回転運動ともに9名が90%以上の成功率であった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度は,市販のメガネフレームに簡単にカメラを接続できるように独自に設計・開発したジョイントを備える視線追跡メガネの二号機を試作し,自然光下において眼球特徴点を検出するアルゴリズムを改良した.さらに,ユーザの顔画像から検出した眼球運動および頭部回転運動を用いた入力方法を開発し,実験によりその有効性を確認した.
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今後の研究の推進方策 |
これまでに視線追跡メガネのプロトタイプ(一号機,二号機)を製作し,この装置を用いて取得した眼球画像から特徴点を抽出するアルゴリズム,および特定の視線モーションによりアプリケーションを操作するシステムを開発した.平成28年度は,より高精度な特徴抽出を目指し,高解像度のカメラを用いた視線追跡メガネ三号機の試作と画像処理アルゴリズムの開発に取り組む.さらに,柔軟で多彩な入力操作を実現するため,視線の移動量と移動パターンを利用してアプリケーションの操作コマンドを生成する方法についても検討・開発する予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
視線追跡メガネを試作するにあたり,カメラとメガネフレームを接続するジョイントを3D CADと粉末金属造形機を用いて独自に設計・製作したこと,実験システムの構築にはできるだけ従来部品を再利用して物品費の支出削減に努めたこと,およびwebを利用した研究打合せにより旅費の支出を抑えたことから次年度への繰越金を得ることができた.
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次年度使用額の使用計画 |
従来システムの改良およびアプリケーション開発にかかる費用に加えて,より高い入力精度を実現するため,高解像度のカメラを用いた視線追跡メガネ三号機を複数台試作することを計画している.このための予算を平成27年度分の繰越金を利用して新たに計上する予定である.
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