研究課題/領域番号 |
26350681
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研究機関 | 大阪物療大学 |
研究代表者 |
李 強 大阪物療大学, 保健医療学部, 講師 (60621860)
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研究分担者 |
三羽 信比古 大阪物療大学, 保健医療学部, 教授 (00142141)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 水素水 / シリカ吸蔵水素 / ケラチノサイト / 細胞増殖 / 水素医学 / 活性酸素種 / 酸化ストレス |
研究実績の概要 |
本研究はまず、シリカ吸蔵水素、電解水素水及び市販水素水飲料などのpH値、酸化還元電位、水素溶存度を調べた。粉末培地を用いて、電解水素水含有培地の作製手順や長期間保存に焦点をあて、条件を変えながら試みた。 シリカ吸蔵水素(以下、水素水)の保管上の利便性、使用上の安全性があるが、細胞を用いる増殖試験の前に最適な用量を決めるため細胞毒性試験を行う必要がある。WST-8法のIC値とニュートラルレッド(NR)法のNR50値を測定したうえ、本試験の適切用量を見出した。 ヒト正常皮膚表皮細胞ケラチノサイトに対して、水素水を投与した後の細胞生存率、細胞数、増殖反応、形態学的変化などを指標にして、実験を繰り返した結果、水素水による増殖促進効果が確認できた。水素水が過酸化水素や紫外線波(UV)に曝露した酸化環境及び、低酸素環境の下のケラチノサイトに影響を及ぼしたかを検証した。 ヒト正常皮膚上皮細胞との対照実験として、ヒト正常食道上皮細胞を用いて創傷治癒アッセイを行った。水素水投与群における細胞移動率が非投与群より有意に高いことが分かった。さらに、ヒト正常食道上皮細胞の実験で得た結果と比べるため、ヒト食道扁平上皮がん細胞を用いた。水素水の単独投与またはγ線/X線照射との併用実験は、いずれもがん細胞への抑制効果が示唆された。これらの結果は当初の計画には入れていなかったが、意外に有益なデータが得られた。国際学術誌へ投稿予定の論文がある。 その他、Thomson Reuters社の Web of Scienceという引用索引関連データベースを通して、ビブリオメトリックスの研究手法を用い、2007年~2014年10月末の8年間にわたる水素医学に関するSCI(Science Citation Index)論文の各種時系列値を得ることができた。2007年に確立された水素医学の概況をまとめた報告を公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、ヒト皮膚細胞が創傷を修復していく途中に現れた細胞挙動を標的にして、水素水がどのようにヒト皮膚細胞の創傷治癒に関わっているかをin vitro で探索することを目的としている。初年度にあたる平成26年度には、数種類の水素水の物理化学性質を掌握したこと、水素水による細胞傷害率や本実験に適した用量を確認したこと、酸化環境及び低酸素環境での水素水がヒト正常皮膚表皮細胞ケラチノサイトに対する増殖促進効果または酸化防止効果を検証したこと、ケラチノサイトに対する増殖促進効果が確認できたことを通して、本研究の最終研究目標に向けて重要な第一段階を通過した。当初設定した初年度の目標が3次元人工培養皮膚モデルを自作することに拘って記した。特許技術を提供予定した研究者が出産休暇に入ったため、一部の結果が得られなかったものの、総合的に勘案してみれば、問題点が一通り洗い出され、基本的な研究手法の正当性が示され、より的確で多種の基礎データを取得することができた。以上の理由から本研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
年度初頭に共同研究が可能な数名の研究者は、それぞれ申請した科研費による研究課題が採択されたこと、特定の特許技術の提供を予定した研究者が産休に入ったこと、及び年度末に研究分担者が事情により止むを得なく辞意を表明したことがあるため、使用予定していた研究手法には一部修正する必然性が出てきた。初年度の研究目標から一部逸脱したことに対して、当初所定の研究目的を吟味して調整を行い、新進気鋭の研究分担者2名を要請して、最終研究目標に向けて、可能な限り幅広く研究を鋭意行う。調整した変更点として、まず、無償で特定の特許技術や測定機器を使用する予定を取りやめ、予算範囲の中で、地道にでき、かつ確実に結果が得られる実験アプローチを、ウェスタンブロット若しくはPCR法などを加えて再考する。具体的には、初年度に進まなかった水素水投与による真皮層にある線維芽細胞の増殖反応の検証実験を進める。新型水素製剤と既有水素製剤と比べ、物理化学性質、抗酸化作用、細胞毒性反応及び細胞増殖反応などを指標にして実験を行う。活性酸素の産生メカニズムに深く関わる低酸素、または高酸素環境でのヒト正常皮膚細胞の挙動と酸素濃度の関係及び水素水投与後の創傷治癒に関係する種々の変化を検証する。研究の軸足としては、今までの水素水によるヒト皮膚細胞の増殖能への検証作業から主に走化能の検証作業に移るつもりである。更に、水素水投与による皮膚上皮細胞の創傷治癒に関する実験方法を固めたうえ、ヒト正常食道上皮細胞とヒト食道扁平上皮がん細胞にも応用して水素水による生物学効果の検証を行うことにより、より広範に現象観察の域を超えたメカニズムに関する探索に参る所存である。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定をしていた一部の研究手法に変更があったため、消耗品費より235,807円の残高が生じた。今後の研究の推進方策で記した内容に基づき、昨年度に引き続き必要な試薬、器具、消耗品、その他を購入するために当該残金額を合算して使用する予定である。
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次年度使用額の使用計画 |
必要な試薬、器具、その他を購入するために使用する予定である。 加えて、これまでの一部の研究成果をまとめて、各種学会において研究成果を公表する。また、国際学術誌へ論文の投稿を予定している。これらに必要な実験費用、出張費、論文掲載費として使用する予定である。
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