研究課題/領域番号 |
26350690
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研究機関 | 長野工業高等専門学校 |
研究代表者 |
伊藤 祥一 長野工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (10369978)
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研究分担者 |
藤澤 義範 長野工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (00342494)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 点字 / ウェアラブルデバイス |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、点字を指先でなぞるだけで日本語音声に変換するためのウェアラブルデバイスを開発することである。これを実現するために、以下の6点が技術的なポイントとなる。 1. 点字を読み取るセンサ / 2. センサ入力を点字の固まりとして認識する / 3. 点字の並びを日本語テキストに変換する / 4. 日本語テキストを音声データに変換する / 5. 音声データを無線でヘッドホンに伝える / 6. 5を身体に装着可能な小型コンピュータ上に実装する H27年度は主に1,2,4,5,6について検討した。センサについては接触型センサにしぼって協力企業と検証作業を進めた。2についてはH26年度で検討したものとは別のアルゴリズムとしてラベリング法を採用し、H26年度のものよりも良好な認識結果を得ている。同時にLK法を用いた指の動き追跡と手ぶれ補正アルゴリズムを確立した。4,5については日本語テキストを渡すと内部的に日本語音声を合成し、Bluetooth経由でスピーカーに出力するまでを確立した。以上をまとめた6として、Raspberry Pi上にユーザーインターフェイスを試作し、一連の動作を検証する足がかりを作成した。現時点で、ダミーの点字画像を入力すると音声が出力されるところまでを通して実現できている。 H28年度はセンサをRaspberry Piに接続して2のコードと結合し、実際のセンサ入力から音声出力までの通しでシステムを動かせるようにする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
点字読み取り用センサの評価について、接触型センサにターゲットをしぼり、協力企業と検討を進めている。また、H27年度までに要素技術として、加速度センサを用いずに点字のパノラマ画像を構成する / 点字のパノラマ画像から点の位置を検出する / 点字の並びを日本語テキストに変換する / 日本語テキストを音声データに変換する / 音声データを無線でヘッドホンに伝える、という部分は完成している。個別の要素技術を洗練させていく必要はあるが、これらの要素技術に接触型センサの入力を結合すれば、点字をなぞって日本語音声がワイヤレススピーカーから発話できるまでの基本的な流れがH27年度末までに完成できた。
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今後の研究の推進方策 |
点字の画像から点の位置を検出する技術について、H26年度で検討した方法よりもH27年度で検討したアルゴリズムの方が優れていることがわかったのでH28年度はこのアルゴリズムをウェアラブル点字リーダーの本体に実装する。また、マイコンで実装中のユーザーインターフェイスの完成度をより向上させ使いやすいものとする。接触型センサをマイコンに結合し、センサからの実際の点字の入力をパノラマ画像として再構築し、点字の認識と音声出力までの一連の流れを実現させる。複数の視覚障害者の方に試用してもらい、精度や使いやすさ、改良点についてフィードバックを受ける。
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次年度使用額が生じた理由 |
H26年度に接触型センサの購入に60万円を見込んでいたが、協力企業に研究内容に賛同していただきセンサの評価と問題の洗い出しに対して無償貸与していただけることになった。また、H27年度中にこの企業への接触センサのカスタマイズ費用として数十万円を見込んでいたが、事務処理の遅れから年度内の契約に至らなかった。カスタマイズ費用と支払いについてはH28年5月に再調整を行う予定である。また、学会等への出張旅費が見込みよりも低く納まった(2泊3日で予定していたところが校務との兼ね合いで1泊2日になるなど)ため、その分も直接経費が浮いた結果となった。
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次年度使用額の使用計画 |
接触型センサの問題点の洗い出しについてはおおむね終了しており、市販品よりも狭いピッチのセンサを協力企業に開発してもらうためのカスタマイズ費用として残額を使用する計画である。
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