研究課題/領域番号 |
26350691
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研究機関 | 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所) |
研究代表者 |
森 浩一 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), 研究所 感覚機能系障害研究部, 研究部長 (60157857)
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研究分担者 |
横井 浩史 電気通信大学, 情報理工学(系)研究科, 教授 (90271634)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 福祉・介護用ロボット / 盲ろう者 / 触指文字 / 自立支援 / 制御工学 / 触手話 / 情報獲得 / 意思伝達装置 |
研究実績の概要 |
(1) 以前に作成したプロトタイプの動作を改良したものを内部で詳細に評価し、また、手話の専門家などの意見も聴取して、問題点を抽出し、改善につなげた。正確な指文字の再現には、少なくとも手首の自由度を増やして、手の角度を正確に提示できるようにする必要があることが明らかになった。これに基づき、触指文字ロボットの手の部分(手関節と手掌と指)に必要な可動範囲と自由度(合計19自由度)、大きさ(触わって分かりやすいことを考慮して女性の手の大きさとする)などの性能を検討し、詳細仕様を決定し、製作した。技術的改良としては、指関節の保持トルク向上のため駆動機構の改良(駆動機構の形状変更と干渉駆動を導入)を行った。また,中手指節間関節(MP)関節および母指手根中手関節(CM関節)の関節構造を変更し、関節可動域および動作の改善を行った。 (2) 指文字による伝達の方法について、盲ろう者の意見を聴取し、盲ろう者と通訳者間の動作の観察を行ったところ、本人が意識していない部分で文字の区切り動作などが行われている可能性と、文字単位での認識だけでなく、単語単位での認識もあることが判明した。前者については、文字の終了時にややせり出すなどが行われている可能性があるが、自覚的な動作ではない可能性が高く、詳細はまだ明らかにできていない。後者については、前者のような動作をしなくても、全体の動作として理解される可能性がある。一方、現状のプロトタイプでは、制御の容易さ(衝突防止)のために、1文字毎に「中間位置」に指を戻しており、これが単語単位での認識の妨げになる可能性が判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)手話の専門家の意見を聴取して,以前に製作したプロトタイプの問題点を抽出し,新たな触指文字ロボットの仕様決定に役立てた。 (2)前項の検討から、指関節の保持トルク向上のため駆動機構の改良(駆動機構の形状変更と干渉駆動を導入)を行った。また、中手指節間関節(MP)関節および母指手根中手関節(CM関節)の関節構造を変更し、関節可動域および動作の改善を行った。これらの改善した仕様に従い、触指文字ロボットの手の部分を製作する目標を達成した。 (3)通訳者と盲ろう者の触指文字による伝達についての検討はまだ少数であるが,今後の制御ソフトの改善に役立つ意見を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
(1)触指文字ロボットのアーム部分の仕様を決定し,制作する。 (2)手とアームを組み合わせ,制御できるようにする。 (3)前年度の課題を取り込んで,ロボットの動作を改善する。 (4)盲ろう者,通訳者,手話の使用者,専門家等に意見を聞き,また,通訳場面の観察やビデオ記録を分析し,了解しやすい動作のノウハウを獲得する。 (5)前項を触手話ロボットの動作に組み込み,実際に触ってもらって,意見を聴取し,それによってさらに改良する。 (6)盲ろう者の触指文字の訓練のためにロボットが使用できるか検討する。
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