研究課題/領域番号 |
26350698
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研究機関 | 県立広島大学 |
研究代表者 |
福場 良之 県立広島大学, 人間文化学部, 教授 (00165309)
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研究分担者 |
福岡 義之 同志社大学, スポーツ健康科学部, 教授 (20265028)
山岡 雅子 (遠藤雅子) 県立広島大学, 人間文化学部, 准教授 (30336911)
古賀 俊策 神戸芸術工科大学, 芸術工学部, 教授 (50125712)
林 直亨 東京工業大学, 社会理工学研究科, 教授 (80273720)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 上下肢同時運動 / サイン波運動 / 呼吸循環調節 |
研究実績の概要 |
最初に,昨年度,予備実験として行ったテーマの本実験を行った。最大下運動強度での下肢step運動の途中に上肢step運動(片腕肘屈曲運動)を加える条件を設定し,上肢運動の付加が呼吸循環系へ及ぼす影響について検討した。被験者は健康な男女8名であった。上肢運動での生理的負担は,安静時に比べ,HRが7 bpm,酸素摂取量(VO2)が67 ml/min,MAPが18 mmHg上昇するものであった。上下肢同時運動では,下肢運動に上肢運動を付加することで,HRが9 bpm,VO2が46 ml/min,MAPが6 mmHg,有意に上昇した。また,上腕動脈の血流量やコンダクタンスが有意に増加し,外側広筋のdeoxy-Hb(O2の抜き取りを反映)とtotal-Hb(筋血流を反映)には変化が認められなかった。以上の結果から,最大下の強度では,下肢運動中に上肢運動を付加しても,先行研究で示されたような循環系の再調節は生じないことが示唆された。 次に下肢sin波状負荷運動(サイクリング)単独の場合と,それに上肢step負荷運動(クランキング)を付加した場合の応答を比較,検討した。被験者は健康な男女9名であった。運動条件は,①下肢sin波状負荷運動,②上肢step負荷運動中に①の運動を同時に行う上下肢運動の2条件とした。①のプロトコールは,sin波の上下限の中間に相当する強度でのstep負荷運動を6分間行い,引き続き4分を1周期としたsin波状運動を4回繰り返した。②では,まず上肢クランキング運動として,中強度でのstep負荷運動を継続し,その6分目から①のプロトコールを同時に付加した。上肢step運動中に下肢sin波状運動を付加すると,下肢単独のsin波状運動条件に比較して,HRの応答性で有意に遅い追従性が示されたが,それ以外の主要な測定項目の追従性に違いは認められなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初,計画していた実験を,予定通りに行い,ほぼ完了した。今後の実施計画にも特に支障はみられない。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度(最終年度)は,最終的な目的とした実験プロトコールである,2台の上肢・下肢用エルゴメータそれぞれを別個に運動強度制御し,stepならびにsin波状の運動を同時に種々の組み合わせ(ならびに運動強度領域)で負荷し,呼吸循環系を測定する。こららの実験結果,すなわち,上下肢同時負荷運動時の生体応答に基づいて,研究の最終目的である,下肢のみでなく上肢も同時に運動する際の呼吸循環機能の統合的な調節メカニズムの解明を試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初,2年目(平成27年度)に作成予定の膝伸展運動補助装置を,研究計画が予想より早く推移したので,前倒し請求を行い,平成26年度末から平成27年度にかけて,特注品として作成した。特注で,かつ製作後,実際に使用しながら調整,改良を行う必要があったため,経費としてかなり大めに見積って前倒し請求を行ったが,実際には,そこまで経費がかさまなかったため,結果として残金が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
上述のように前倒し請求の結果の残額と,当初予定の本年度の配分額をあわせて,計画する実験の遂行に必要な諸経費や謝金,さらにこれまでに行った研究成果の学会発表(国際会議を含む)や論文化を推進するために必要な諸経費に使用する予定である。
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