研究課題/領域番号 |
26350700
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
大上 安奈 東洋大学, 食環境科学部, 講師 (00550104)
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研究分担者 |
定本 朋子 日本女子体育大学, 体育学部, 教授 (30201528)
大槻 曜生 日本女子体育大学, 基礎体力研究所, 助教 (00710667)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 静脈コンプライアンス / 心肺圧受容器反射 / 血圧調節 / 静脈還流 |
研究実績の概要 |
平成27年度は姿勢変化に運動実施を加えることで,心肺圧受容器反射と運動由来の交感神経活動亢進の相互作用が皮膚層と筋層の静脈血管調節に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした. 健康な若年男女を対象とした.心肺圧受容器反射を引き起こす方法として,平成26年度と同様にチルト台を用いた(head-up tile: HUTまたはhead-down tilt: HDT).また,運動刺激として静的ハンドグリップ運動(SHG)を用いた.実験条件は下記の8条件を設定した.1)仰臥位姿勢(0°HUT),2)30°HUT,3)60°HUT,4)-10°HDT,5)0°HUT+SHG,6)30°HUT+SHG,7)60°HUT+SHG,および8)-10°HDT+SHG.また,皮膚層の静脈として尺側皮静脈(表在性静脈)の,筋層の静脈として上腕静脈(深在性静脈)の血管横断面積(CSA)および血管伸展性(CPL)を超音波法にて評価した.さらに,循環応答として,一回拍出量,心拍数,平均血圧および上腕動脈血流量を計測した.実験は全て完了しており,データ解析も-10°HDTおよび-10°HDT+SHGの2条件を除き終了している.本研究から得られた主な結果は次の通りである.仰臥位姿勢でSHGを負荷しても,表在性静脈および深在性静脈ともCSAとCPLに変化は見られなかった.30°HUTおよび60°HUTにおいて,姿勢変化でのみ深在性静脈CSAは低下したがCPLには変化がみられなかった.表在性静脈はCSAおよびCPLとも変化しなかった.以上の結果から,1)筋層の静脈血管は圧受容器反射由来の交感神経活動亢進により収縮するが,血管伸展性は変化しない.また,運動由来の交感神経活動亢進の影響を受けない,2)皮膚層の静脈血管は圧受容器反射および運動由来の交感神経活動亢進の影響を受けない,3)筋層と皮膚層における静脈血管調節に対する運動と心肺圧受容器反射の相互作用は異なる,ことが示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していた実験は全て完了している.データ解析も-10°HDTおよび-10°HDT+SHGの2条件を除き,終了している.これらのことから,本研究はおおむね順調に進展していると判断できる.
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今後の研究の推進方策 |
-10°HDTのデータ解析を行うことで,静脈血管調節に対する圧受容器反射の役割を詳細に明らかにする.今後,動的運動を用いた実験を加えることで,心肺圧受容器反射と運動由来の相互作用が運動形式によって異なるのか検討していく予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
-10°HDTのデータ解析が終了しなかったため.
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年4月~6月中にデータ解析を行い,その際に使用する.
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