研究課題/領域番号 |
26350701
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
村岡 哲郎 日本大学, 経済学部, 准教授 (30398929)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 二肢協調動作 / 知覚的目標 |
研究実績の概要 |
周期的二肢協調動作を行う際,動作は知覚的目標を再現するように自発的かつ柔軟に調整されることをMechsner et al. (2001)は主張している.知覚的目標はすなわち動作の制約として機能し,この制約の種類として念頭にあるのは主に肢の動作方向であるが,動作における特徴的局面の動作タイミング(同期・非同期)も含まれる可能性が示唆されている(Mechsner, 2004).しかし,特徴的局面の動作タイミングという制約が二肢協調動作において実際に機能していることは示されていない.被験者21名を対象とし,周期的一肢動作(前腕回内・回外,示指屈曲・伸展)の特定動作局面(屈曲,伸展,回内,回外)を音に合わせて行う課題と,それら一肢動作を組み合わせた二肢協調動作の課題を行わせ,動作安定性を調べた.実験の結果,前腕回内と音を合わせる動作は前腕回外と音を合わせる動作よりも安定し,示指屈曲と音を合わせる動作は示指伸展と音を合わせる動作よりも安定することが示された.さらに,一肢動作における安定性について,(左前腕回内と音,右示指屈曲と音)と(左前腕回外と音,右示指伸展と音)の差異は,二肢協調動作における(左前腕回内と右示指屈曲)と(左前腕回内と右示指伸展)の安定性の差異と相関することが示された.すなわち,左前腕回内・回外と右示指屈曲・伸展という異名筋を用いた二肢協調動作において,特徴的局面の動作タイミングが動作の制約として確かに機能していることが示された.これまでの研究によって,示指内転・外転と手首内転・外転の二肢協調動作においては特徴的局面の動作タイミングではなく動作方向が動作の制約として機能することが示されている.こうした特徴的局面の動作タイミングまたは動作方向が動作の制約として機能する二肢協調動作を用い,制約の種類とその制御機構の関係について今後明らかにしていく.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度の運動学的解析で得られた結果が当初の予想と少し異なったため,本年度も引き続き運動学的実験を行い,経頭蓋磁気刺激を用いた実験については予備的実験に留まった.なお,予備的実験の結果は予想されたものであったため,今年度は計画通りに順調に進むと思われる.
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今後の研究の推進方策 |
これまでの運動学的解析で得られた結果を基に,経頭蓋直流電気刺激,経頭蓋磁気刺激を用いた実験を進め,二肢協調動作における制約の種類とその制御機構の関係について明らかにしていく.
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次年度使用額が生じた理由 |
経頭蓋磁気刺激を用いた実験については予備的実験に留まったため.
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次年度使用額の使用計画 |
本年度にずれ込んだ経頭蓋磁気刺激を用いた実験に係る費用(消耗品費,被験者謝金等)に使用する予定である.
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