本研究は当初の計画では平成28年度までに完了する予定であったが、計画通り進められなかったため、今年度まで延長して研究を行った。今年度は、8月にロンドンオリンピック・パラリンピックが行われた会場で陸上競技の世界選手権が行われたため、現地調査を行った。この大会の開催は、2012年のロンドンオリンピック・パラリンピック大会開催のレガシーと考えられるさまざまな要素があり、現地でそれらに関する情報を集めた。具体的には会場周辺の施設整備等、メガイベントの跡地利用の問題、それにかかわる人材の雇用を生み出すシステム、大会開催前から展開された教育プログラムと、開催期間中会場に設置された教育施設とプログラムなどであった。これらは教材の現実的な題材として活用できるものである。 2016年8月に行われたリオデジャネイロ大会の教育プログラム(Transforma)に関する文献を、ポルトガル語から日本語に翻訳し、教育プログラムの内容とブラジル国内での実態を検討した。文献が少なく、調査研究の範囲も限定的であるため十分な成果は上げられていないが、プログラムの実際の一部は明らかにすることができ、日本におけるオリンピック・パラリンピック教育の教材づくりに役立てることができる。 研究の最終年度として、学校で実施できる具体的なオリンピック・パラリンピック教育の内容を明らかにするとともに、学習指導要領の内容と照らし合わせ、どのような時間にどのような内容を扱うことができるかを、中高の体育理論を中心に検討した。中学校・高等学校については、体育理論に当てはまる内容は限定的で、体育実技と関連させて行う内容や、総合的な学習の時間など教科を超えて活動できる時間に扱う内容が多かった。また、教科担任制でない小学校の方が教育の展開の自由度が高いことも明らかとなった。
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