研究課題/領域番号 |
26350708
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
瀧澤 文雄 千葉大学, 教育学部, 教授 (50114294)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 身体教育学 / 身体性哲学 / 運動実践 / 思考の論理 / 現象学 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、運動実践の現象学的分析によって、「身体運動の論理」を明示することである。この研究によって、身体を教育するための現象学的運動学を具体化できると考えている。身体運動を習得することは、ある意図のもとに、身体と外界との関係を築くことである。これを明らかにするためには、運動実践を運動する主体から解明することが必要である。よって、運動実践に潜む身体運動の論理を、現象学的分析によって探る必要があろう。 本年度は、哲学一般、現象学、人間学等の文献研究を継続することによって、人間学から観た身体運動を再検討した。その検討を背景に、これまで研究してきた身体の論理および身体的思考の論理との関連づけを精緻化することを試みた。それらとの整合性を図りつつ、現象学的分析によって人間の身体運動が保持している独自の論理性について考察した。 運動の実践とは、外界との関係を構築した結果としての身体能力に基づいて、みずからの意図を実現することである。その運動実践に潜んでいる論理性の概略、およびその論理解明が構想中の現象学的運動学においてどのように位置づくのかについて、平成26年に筑波大学で開催された第36回日本体育・スポーツ哲学会において「身体運動の論理性と新たな現象学的運動学」(単独)として発表した。 また、身体運動の論理性を見出すために、その背景的研究としてドイツミュンスター大学体育学部図書館を訪問・滞在し、関連文献の収集・検討を行った。当該大学では、Michael Krueger教授等と面談することによって、ドイツにおけるスポーツ教育学および運動学の動向、さらに学校現場での運動学について、意見交換及び情報の収集を行った。さらに、身体運動の論理を抽出するための考察を継続した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は次のように研究計画を立てた。①人間の運動に関する哲学的文献の研究を継続する。②現象学的運動学における身体運動の論理の位置づけとその概略について考察する。③それについて、第36回日本体育・スポーツ哲学会(筑波大学)で発表する。④ドイツ・ミュンスター大学でのMichael Krueger教授との面談を含め、同大学スポーツ科学部附属図書館で文献研究を行う。 ①については本務校の業務のため予定通りには進まなかったものの、②については概略的ではあるが、身体の論理、身体的思考の論理との範疇分けを含め、見通しを持つことができた。③その考察内容と結果として、肉体と身体、用具や他者を含めた外界、意図と身体的思考との関係から運動実践が成立していることを、体育・スポーツ学会で発表・討議した。また④については、複数の教授と話す機会ができ、研究状況を含め多くの情報を得ることができた。さらに、本研究課題と密接に関連する内容として、H.25年度までの科研テーマに関して「『現象学的運動』論考 -身体を教育するための新たな運動学-」という題目で、体育・スポーツ哲学研究に投稿し、掲載された。よって、本年度の計画はほぼ達成されたと判断した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、平成26年度の考察をもとに、身体的思考に含まれる意図を中心に、引き続き文献研究と現象学的分析を継続する。そのことによって、人間が行う運動実践の独自性となる、身体運動の論理を抽出し、大まかな体系化を図りたい。特に人間の運動実践においては意図が不可欠であり、実践と意図との関係を明確にすべく考察する予定である。すなわち、どのような意図がどのように階層化されているのか、またそれらをどのように活用するのかについて考察する。それと平行して身体運動の論理をテーマに、具体的な体育授業において運動指導を行い、その論理について検証的考察も行う予定である。 また、次年度はその研究成果を第43回国際スポーツ哲学会(英国Cardiff大学にて開催)において「What Sort of Intention is Required for Movement Practice? - A Investigation into the Logic of Human-Bodily Movement -」というテーマで発表し、意見交換を行う予定である。その結果から研究をさらに進展させ、身体運動の論理として実践における意図の役割を学術雑誌に原著論文として投稿したいと考えている。
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